あの人のこと

想像力に乏しくて、現地現場に行かないと、自分の立場が変わらないと、実際に見たりやったりしないと、わからないことばかりでずっと生きてきた。そして未だにわからないことばかりだなと思って生きている。だからちょっとわかると嬉しくて、その感想をこうやってブログに書いたりして喜んでいる。

 

一昨日、会社に行って働いて、お昼ごはんの代わりにコンビニで買ったマネケンのワッフルを食べた。
そのままわーっと会議したりなんなりして夕方18時頃、持って行ったお弁当を食べた。なお、お弁当の内容は白菜・厚揚げの黒酢炒めに冷凍ごはんである。
そうすると退勤するまでの22時頃まで、心身共に元気なので驚いた。
帰り道、気落ちしていないのだ。
いつも心底どんよりして、人生無理なことしかないという気持ちで帰るのだが、なんとなく自己肯定感を持ったまま、にこにこと退勤できた。
いや〜これは大発見、残業世界に誇示すべきライフハックやで!18時にご飯を食べる、これがソリューション!*1
と調子に乗ったのも束の間、これはどこかで聞いたことがあるなと気が付いた。
鍼医でそんなふうに細切れに食事をしなさいと言われたなとか、そんなこともあるが、いやいやその記憶じゃなくて、もっと前の…
そうだ、あの人のことだ。10年以上前に少しだけお付き合いした恋人のこと。

彼が何歳年上だったか、どこにお勤めでどんな仕事をしていたか、全然覚えていないのだが、なぜだか鮮明に覚えている会話があって、ひとつはエグザイル嫌いっていう話と、もうひとつが食生活の話だ。
彼は「平日は18時くらいに会社の向かいのセブンイレブンに行って、晩ごはんを買って食べてる。それで終電まで仕事して帰るから、家ではなにも料理しないし食べない。だからナナコカード作ったんだ〜。」と言っていた。
その頃まだほぼ新卒で実家暮らし、朝晩食べさせてもらっていた私は「えーそんなのやだ〜」とか言ってじゃれていた。LINEはまだなくて、ケータイのメールで連絡してた。あと内心ナナコカード要らんやろと思っていた。

それをドバっと思い出して、ああこれだったのかと、当時の彼の年齢を大きく越えた今、気付いたわけだ。
ああ、あの人も、こんな気分だったのかなと。
生活のあれこれが面倒に感じていたのはわかっていたけど、もしかしてこの時間に食べておくと気力体力が延長できるからだったのですか。と訊いてみたい。
ていうか、なんでそんなに残業してたんですか。
もしかして未だにしてるんですか。
ぽこぽこと湧いてくる記憶の断片を眺めていると、なんだか彼の良いところしか見えなくて、どうしてお別れしたのかわからなくなる。

えーとえーとと断片に続く紐を引っぱってみると、でてきた。東日本大震災が発生したときに、彼のことがすぐに思い浮かばなかったんでした。たぶん、「大丈夫かな」って思ったの、あの瞬間から1時間後くらいだった。それで別れてしまったんだった。

いろいろなことがある。

 

 

 

*1:そもそもたぶん全員知ってるやつだ