贅沢旅のこと


どこかに行きたさが破裂しそうになり、京都にでも行くか…?と思って宿まで予約しかけた。
けど、オミクロンだなんだとか。新幹線乗ったら結局結構かかるわねとか。仕事では評価の時期なのでそれもやんなきゃねとか。いろいろモヤモヤした末に、近所で旅行することにした。
知らないところに泊まって知らないところでご飯食べたら大体旅行ということに。

北朝鮮からのミサイルのニュースを聞きながら昼過ぎまで寝て、ときどきかかってくるお取引先からの電話に出て、ちょっと対応して、クリーニング屋さんに寄ってから、久屋大通のホテル*1に行く。
そういえばこの辺あまり来ないなと思って歩いていたら、初めて見るオーガニックスーパー*2があったので早速嬉しくなった。こういう、歩いてて見つけるみたいなことがあればもう旅行。ぐるっとひと回りして、明日の朝ごはんはここでパンを買って食べようと思った。ハイソって、もう死語かな。ハイソな感じだった。
チェックインしてすぐにお風呂に入る。大浴場があるのだ。家での入浴は大嫌いでいつもはカラスの行水しているけど、旅先で大きな浴槽に浸かるのは好き。早い時間だったから誰もいなくて、ゆっくり体を洗ってゆっくり湯船に浸かって、小さな露天風呂から青空を眺めながら深呼吸したりして、30分くらい満喫した。脱衣場で水をめちゃくちゃ飲む。贅沢。入れ替わりに同い年くらいの人が入ってきたから、ナイスタイミング、貸し切りでっせ、と思いながら出た。

行ったことのないところで飲もうと思ってウロウロし、通りかかったレストラン*3のドアを勇気を出して開けたら「いっぱいです」と言われるなどした。今度予約して行こう。
結局グーグルマップにメモしていたスペイン料理店『Estoy lleno*4』に辿り着く。シェフがきっちりマスクをしていて嬉しい*5。しかもカウンターとキッチンの間に窓のようなものを設けていて、お料理を出したり注文を聞くときだけカラカラ〜っとそれを開けてくれるのだ。その窓がピカピカでまた嬉しい。
頼んだのは今日のお勧めから、ラディッシュのマリネ、サワラのドノスティア風サラダ、ハチノスとギアラと里芋のカジョス。ラディッシュがローストしてある上にマリネが軽くて、これはこれは、と思っていたら、次のサラダが尋常でない美味しさでワインをごくごく飲んでしまった。何が美味しいのかわからなくて悲しいのだけど、サラダの味付けがめちゃくちゃ美味しい。香りと少しの苦みが野菜も魚も美味しくしている模様。お店の最安値グラスワインがびたびたに合ってしまい、おかわりした。
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ちょっと歩いて、ここもメモしていたけど初訪のバー『安西コーブンドー*6』に。本と酒、の呼び込みでずっと気になっていたのだけど、タイミングが合わずに2年くらい経ってしまった。BGMでスピッツの『正しい街』カバーと『青い車』が順に流れて戸惑い、そのあとも自分の世代のJPOPが流れ続けて耳が忙しかった。
本棚の中身は自宅にあるものや、読みたかったと思っていたものに溢れていてこれまた大変。私もこんな店をやりたい…というか私がこの店をやりたい。夢を叶えている人だ。読みたかった長嶋有『ルーティーンズ*7』が置いてあって、ビールとジンソーダを一杯ずつ飲む間に読み切ってしまう。こんな贅沢なことあるか。『Neverland Diner*8』が置いてあったから、今度はあれをちびちび読みながらだらだらと飲みたい。
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ダメ押しでホテルの近くのバーに駆け込み、ワインを飲む。なんだかどこの店にもアルケミエ*9が並んでいるような気がする、前の店にもあった。それを眺めながら勧められたワイン、一杯目は正直よくわからなかったが、二杯目が美味しかった。お店の人に言うと「そりゃなかなか通ですね」みたいなリアクションをしていただけるのだけど、実はこちらのアレルギー性鼻炎に対抗できるくらいの強い香りのするものを良いと思うだけなのかもしれないと恐縮してしまう。ワインやお酒をもっと知りたいと思うけど、鼻に自信がないので全く勉強する気につながらない。横に座った人たちが「酸が」「山菜の香りが」と話しているが、なんか美味しいなあとしか思えない。言語化したいけど、どうやって香りに名前をつけたらいいのか。

やめときゃいいのに最後の最後でケバブを食べて寝た。


起きて朝ドラを観る。今、出てくる人が全員かわいいので楽しく観られる。もう一回大浴場に行くか?と思うが、結局ゴロゴロしてチェックアウトの時間になってしまった。とぎれとぎれに読んでいた『諸般の事情*10』を読み終わる。コロナ禍以前の愉しげな日々、パリ旅行記が羨ましかった。*11
『続 諸般の事情』に行く前に、『なにもつづかない*12』を読み始める。タイトルにシンパシー。しかし読み始めたら、イライラしたり、喧嘩したり、病気になったりとかなり激しかった。最初は読むのしんどいかも、と思ったけど、だんだんハマってきてどんどん読んだ。"ブファ"という単語がよく出てくるので何だろうと思ったら"ブックファースト"のことだと途中でわかった。新宿のモード学園の地下にある書店。

朝ごはん、久屋大通のカフェでカフェラテとアボカドトーストを食べた。映えた。
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雨用の靴が必要で栄のデパートや地下街をぐるぐる回った。見比べているうちに疲れてきてしまい、イメージしていたのと全然違うものを買った。イメージは合皮で普段履きもできるサイドゴアの雨用ブーツで、買ったのはゴム製のもの。
もう家に帰りたいが、帰ったら100%寝てしまうのでバスに乗って知らない街にあるロイヤルホストに行く。名古屋の数少ないロイホ、初めてだ。メニューに載ってるもの全部が美味しそうだが、二日酔いのためビーフジャワカレー1択。久しぶりに食べたがやはりとても美味しい。パラダイスティーをごくごく飲む。
やろうやろうと思って先延ばしにしていた去年の手帳から今年の手帳への転記を少しやる。去年のミーティングや研修のメモは、理想ばかりが書いてある。この中で実際にやり遂げたことなど1つもない…と暗くなってきて、せっかくのリフレッシュ旅行感が消えかけたのでやめた。食べようと思っていたいちごのパフェはまた今度にする。
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『なにもつづかない』を読み終え、蟹の親子さんの健康を祈りながらの帰路。いろんな人の日記本を読んでいると、やっぱり本になってるのいいな〜と思ってしまう。


昨日出したクリーニングを引き取って旅は終わり。家は寒い。

 

 

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*3:

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*5:これ、ほんとにこの2年で生まれた新しい感情だ

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*9:岐阜の郡上八幡で作ってるカッコいいジン

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*11:読みながらこのブログを書いているので文体がかなり武塙さんに寄ってしまっている。彼女のあっさりしつつも愉快さ溢れる文章に憧れる。

*12:

お正月のこと


新年あけましておめでとうございます。
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晦日は近所のお蕎麦屋さんに行った。お蕎麦だけ食べるつもりが、つまみもお酒も販売していたので興奮して焼味噌や白子の天ぷらも頼んで豪華に満喫してしまった。お蕎麦も美味しかったので、また行こうと思った。
紅白歌合戦氷川きよし美空ひばりの曲を歌ったのと、MISIAと藤井風が二人で歌ったのがとても良かった。氷川きよしは思いの溢れでる様が、MISIAと藤井風は才能の花が乱れ咲いている様が良かった。
日付が変わって23550655の干支の歌がいつになく可愛くてびっくりした。毎年もっとわりと呆然としてしまう気がするのだが。

お正月の朝兼昼は鶏肉を入れたお雑煮をかろうじて作って食べた。昼から仕事に行って帰ってきて、夜はスーパーで買った900円くらいのおせちセットを食べた。別途で好物の紅白なますを買っておいて大盛りで食べた。さらに、今まで存在を知らなかった魚屋さんに通りがかり、いくらを買ったのだがこれがべらぼうに美味しかった。多分漬け方が上手なんだと思う。一緒に買った西京焼も美味しかったので、この店を信じる気持ちが強く生まれた。通おう。

年末年始やりたいこととして書いた15個のうち、6個はできた。
・アトリエみちくさに行って花を買いたいしMATKAさんの花瓶も見たい
・紅白を観ながらツイッターをしたい(これはする)
孤独のグルメスペシャルを観たい(紅白とかぶっている)
・美味しいお蕎麦を食べたい
・お正月の食べ物を買いに行きたい、かまぼこと紅白なますだけでも
シャンパンを飲みたい
全て欲望を満たす系のもので、自分を律する系のものは何もできませんでしたね。わかってたけど。


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年末年始やりたいこと


昨日が仕事納めだったので、年末年始の休みに入った。
やりたいことがめちゃくちゃいっぱいある。

・部屋の床を水拭きしたい
・シーツ類を全部洗いたい
積読の本を読みたい、8冊くらい
・もう読まない本を売りたい
・雨用の靴が壊れたから買いたい
・アトリエみちくさに行って花を買いたいしMATKAさんの花瓶も見たい
・仕事の1年の振り返りをしたい
・仕事の振り返りをしつつ旧手帳から新手帳にいろいろ転記したい
・振り返りをしながらブログを書きたい
・紅白を観ながらツイッターをしたい(これはする)
孤独のグルメスペシャルを観たい(紅白とかぶっている)
・美味しいお蕎麦を食べたい
・お正月の食べ物を買いに行きたい、かまぼこと紅白なますだけでも
・カラオケに行きたい
・ゆっくりお風呂に入りたい
シャンパンを飲みたい


だけど休みが今日と明日の2日しかないんだよ。
で、もう1日終わっちゃったんだよ。
なんだよー。

 

 

(でも今日はすごく楽しかった。友人のおうちに行ってペヤングを食べて人生ゲームして遊ばせてもらった。ありがとうございました。)
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退職のこと

 

ずっと近くで仕事をしていた方が退職してしまった。


年は10も下なのだけど社歴は彼女のほうが1年先輩で、もうすでに完成している…というか、成熟した落ち着きを持っているスマートな人だった。

わからないことがあったら彼女に聞こうといつも思っていた、頼りにして甘えていたから、寂しい以上に困る。

困るけど…仕方ない。

いまの会社に来て、新卒で入られる若い人たちに長く働いてもらいたいと思うようになったけど、我が身を振り返れば、新卒で入った会社は初日から「3年でやめるべ」ってイキってたし、実際すごくいろいろな仕事をさせてもらってたのに4年で辞めてしまった。

彼女は27歳で、新卒から5年間やるべきことをやりきった気持ちでいるだろう。そして、目の前に広がる世界に対して留まっていないというだけ。

同じことなのだ。

いつかこの日が来るとわかっていたから割と冷静でいられたのだけれど、当日になって花を渡したり記念写真を撮ったりしたあと、急に寂しさがこみ上げてきて泣いてしまった。

残ったメンバー同士で、がんばろうねと肩を叩きあう。

 

彼女の転職先は東京だそうだ。お付合いしてる人も一緒に転居して、二人で東京で新しい生活をスタートするという。勝手に寂しい悲しいと思っていたけど、そんなの、友達だったら絶対に応援したくなる、最高に楽しい冒険だ。わたしだったらブログ書き散らしてるわ。

彼女の新しい全てが素敵になることを祈るのみ。ブラック企業だったら即辞めて帰ってきてほしい。

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クリスマスのこと


サービス業のはしくれ、かつサンタのしもべ*1として働いているので、社会人になってからのクリスマスは仕事をしていることが多く、今年も同様。

 

アメリカ人の上司がいるのだが、もちろん25日は彼は休みで、最近はクリスマス関連の映画ばかり家で観ているらしい。彼が楽しそうに帰って行った後ろ姿を見て、チームメンバーみんな嬉しいクリスマス・イブだった。

上司を見送った数時間後、ローソンで20円引きになっていたフライドチキンを買って、食べながら夜道を歩いて帰ってきた。

家でテレビをつけるとEテレ『ドキュランドへようこそ』で、サンタの学校のドキュメンタリーがやっていた*2。冷凍水餃子を小鍋からそのまま食べつつ観たらとても楽しかった。アメリカ中に点在する"サンタとして活動する人たち"が一同に会して、どんなサンタを目指すべきか、こころざしは、服は、ヒゲの脱色は…などなどを習い、学び合う。
サンタは言うなれば究極のサービス業、一人でやるテーマパークのようなもので、あらゆる場面で前向きな姿を見せなくてはならない。クリスマスの精神*3を伝え守り広げようという、キリスト教とも少し違う、クリスマスに対する明るくてキラキラした前向きな気持ちがすごく良い。

Netflixで民家のクリスマスデコレーションをしますよという番組*4も観たのだが、こちらもアメリカ人のクリスマスへの気合が込められていて面白かった。家族の集まりをこんなに真剣に考えている人たち、さぞや楽しいだろう。一人でフラフラするにはちょっと生きにくそうだけど。

 

クリスマスの日は会社の社食でケーキを食べさせてもらえる。小さいブッシュドノエルだ。約1000個のそれを手配しているのは私だ。でもなんかうれしい。小さいし値段も知ってるけど、会社のデスクで食べるケーキは楽しい。
ケーキ効果か胃がもたれて退勤。胃がもたれているのに、帰り道にひとのブログ*5でチャーハンとラーメンについて読んでしまい、強烈に食べたくなる。胃もたれ…チャーラー…胃もたれ…チャーラー…と思いながら自宅から徒歩30秒の中華に吸い込まれ、メニューを見極めるのに10分ほど*6かけた。

海鮮お粥。
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厚揚げなどの五目炒め。
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しつこいものを食べつつ優しいものも食べたいという気持ちをメニューで表現してみた。

五目炒めは油と濃い味しみしみ、ニンニクごりごりで最高。お粥はエビぷりぷりであっさり美味しかった。明石家さんまナイナイ岡村などがわちゃわちゃする特番がテレビで流れている。なんで中華屋で眺めるテレビは、家で見るより面白いんだろう。こういう気の抜けたバラエティとか、地方局の夕方の帯番組とか、そういうのは家で見るより店屋で見るほうが倍面白い気がする。あと、お相撲とか。なぜだろう。そして、五目炒めが多いから半分持って帰ろうと思ったが、包んでもらうのが面倒で全部食べてしまった。

胃がもたれたまま…というか、パンパンに膨れたまま、湯たんぽを作って寝る。良いクリスマスだったな。明日の名古屋は雪らしい。

 

 

 

*1:妖精と呼んでもらえるとよさそう

*2: 

*3:これはgiveとjoyとloveの心なのかなあ

*4:

*5:

*6:体感

ああ、飲み食いのこと


先日病院に行ったらレントゲンで見た腸の様子がぼちぼち麗しかった。担当医に「もう刺激物でもなんでも好きに食べてみるしかない。ダメになったら手術するからまた来たまえ。」と言われて、すっかり食養生の姿勢を失いつつある。


今までの食習慣と大きく変わっているのは、お菓子。スナック菓子とかチョコレートとかクッキーとか、そういうものがやめられなくなった。いいことなにもないとわかっているのだが、会社でも家でも、ご飯を食べたあとになにかつまむのが嬉しくて食べている。いちご味のアルフォートがとても美味しいので、みんな職場の人々と分け合うといいと思う。
さらにラーメン、焼き肉、ビール、どんとこいで勢いよくやり始めた*1ら、すぐ太ってしまった。退院直後のシュッとした自分の顔のラインが懐かしい。一方で2週間くらい何も食べなければ痩せられるという、実践不能で無意味な学習をした自分が恐ろしい。

 

昨日は休みで、教えてもらって知った、今池の『読書珈琲リチル』に行った。Amazonウィッシュリストに入れていた本をおそらくお目にかかったことのない方からプレゼントしていただき、感謝の気持ちと共に「読むことに集中するぞ〜」と思って、東京でいうところのfuzkue的な、無音喫茶であるここに来たのだ。
メニューを見たら『どらやき クリームチーズ入り』という素敵なものがあり、とりあえずそれを食べるのでワフワフしてしまった。最近なんだかどら焼きが大好きなのだ。甘いつぶあんにしょっぱいクリームチーズがちょっと衝撃的にうまかった。コーヒーも美味しかった。
結局いただいた本は10ページくらいしか読まず、前回のブログを書いて過ごしてしまった。けど、本当に静かで良かったので、またリチルには本を持って行きたい。スマホを置いていくといいと思う。

そのあと近くの『菓酒店jira』に久しぶりに行って、ナチュールの赤ワインを飲んで花椒の香りのする茄子の煮浸しを食べた。いずれもとても美味しくて満足。
家の冷蔵庫にある野菜のことを思い出したり翌日の仕事のことを考えたりしたけど、結局最近できた『カレーと酒 フィジー』に初めて行くことにした。かなり賑やかな店内、世の中こういう感じなのねとちょっと驚いた。コロナなかったことになってますね。
カルダモンの香りのほうれん草のお浸しや、しめ鯖のアチャールなどを食べて引き続きワイン。シメにカレーを食べさせてもらったらとても美味しかった。カレーでの腹痛発生*2以来、カレーを控えていたからしみじみ嬉しい。軽いサイズで合掛けにしてもらえて、これは助かる。
また来よう〜、と調子に乗りながら最後の最後で別な店に入ってビールと半ラーメンを食べてしまい、完全にやりすぎた。せっかく痩せたすべてが元に戻った。ちょっと不安だったが二日酔い以外の不調なく翌日を迎えられて良かった。
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*1:最初はビールにとにかくビビってしまった。冷たくゴクゴク飲むものへの恐怖感があった。

*2:

生活日記生活のこと

 

ごまさんとの旅の2日間、個人的名古屋2大書店のOn ReadingとTOUTEN BOOKSTOREに行った。
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On Readingは元を辿れば、いか文庫の店主に「名古屋で良い本屋さんってどこですか」と転居当初に訊いて、ズバリと教えてもらったのだった。それからずっと、行くとほしい本が沢山あって、ギャラリーでの展示もいつも興味深く、私の中で名古屋の心の拠り所になっている。
今回もギャラリーを眺めてからお店に入ると、読みたいなと思っていた本*1がバンバーンと面で陳列されており、さすが…と思う。が、それらの本を手にとってみてもなんとなくやる気が起きなかった。重たかった。もっと言うと、世の中のさまざまなことにあんまり関与したくない気持ちがあるみたいだった。

TOUTEN BOOKSTOREはオープン直後に行ってから間があいてしまって、久しぶりに行った。すごく本が増えたなあと思い、そしてなんとなく神楽坂のかもめブックスのことを思い出した。店内の構成とか、漫画コーナーの位置とか。私にとってOn Readingが名古屋のSPBSで、TOUTENは名古屋のかもめブックスだ。それはさておき、急な階段を上った2階にあるスペースに初めて入ったら素敵だった。

どちらでも少しずつ本を買って、それは結局すべて誰かの生活のことばかりだった。スマホTwitterやらBlogやら、他人の暮らしのことばかり毎日読んでいるのに、それを本でも読みたい気持ちがあるらしい。

 

安達茉莉子 『私の生活改善運動』

手のひらサイズのzineのかわいさに比べて、内容が硬派ですてきだった。「これでいいや」と決別することにした作家の、その決意に至った経緯と実践の記録。
見ていて気持ちいいものだけで部屋を構成すること、だけでなく、あらゆる選択の機会に快不快を見極めて、嫌なものに嫌と言うこと。つまり自分を軽んじない運動についての記録だった。
そうなるのって時間の余裕が必要だ。この人もどうやら勤め仕事をやめて、そういう生活を得たらしい。Vol.4まで出ているのに日和って1巻しか買わなかったのを後悔した。

 

香山哲 『ベルリンうわのそら ランゲシュランゲ』

これは生活もあるけど世の中寄りとわかっていたので、ちょっと取り掛かるまで時間がかかった。でもえいやと読んだら、やっぱり面白くて、肝はここだなと思った。

…どんな人でも/何歳でも何を目指してもいいはずだし…/僕にもいろんな理想があるけど/すでに自分は生まれ育って今の自分になってるわけで…
「なかなか叶わないような理想だとしても持ち続けたい」⇔「できるだけ実現可能な目の前のことやろう」⇔「その他色々な意志や気持ち」 

私たちはまだらで中途半端だけど、考えながら生きるしかなく、かつ、それでようやってるよね、とでもまとめようか。それを読みながらも、自分ようやってると100%は思えないことがすこし悲しいような可笑しいような気持ちになる。

 

『ケアの記録』

検索しても書いている人の情報が出てこない。名古屋に住んでいる20代の方の、個人的なzineのようだ。本を読んで絵を観て、考えたことが書かれていた。タイトルよりも「ケア」じゃないな?と思ったら、最後に、本を読んだり絵を観ることが自分にとってケアになっている、というようなことが書いてあり、そうなのねと腑に落ちた。

 

植本一子 『ある日突然目が覚めて』

写真家でありエッセイストでもある人の日記。書くのを休む…ということをこの日記に書いている。子どもやパートナーとの生活をしながら、この人も自分をケアしている。
カウンセリングやセラピーを経てふと「どうしてそんなに自信を持てずに生きていたんだろう」という境地に辿り着く感じは、不思議だが、なんだかわかる。約3週間の入院後に仕事に戻ったら妙に脳に余裕がある感じがして「どうしてあんなに忙しい気でいたんだろう」と思ったことになぜか繋がった。

 

るるるるん 『3 ghosts write, cry and live!』


TOUTENでもらった日記のフリーペーパー。女性3人の文芸ユニットらしい。世の中いろんなユニットがあるものだ*2。それぞれの日々が一言ずつ書かれていてリズムよく楽しく読んだ。元気だったりそうでなかったりするのが、かわいくて楽しそうで憧れる。仲良くしている人たちに対して抱く憧れのようなこの気持ち*3は、一体なんなのだろうな。

 

武塙麻衣子 『驟雨とビール』

ごまさんに勧めてもらって、その場でネットで買った。
本を読み映画を見て昼寝をしてご飯を食べている日記。ビールも飲んでいる。猫とパートナーとなんだか素敵な暮らしをされていて、サクサク読むのが楽しかった。わりとコンパクトに淡々とまとめた日記で、こういうのを書くのもカッコいいな…と思った*4
飼い猫がテレビを倒して壊してしまったあとの一節が面白くて笑ってしまった。

 テレビをつけてみるけれど、縦線でまったく見えなくなった部分以外にも黄色い線が全体に広がり、もうほとんど何も見えない。気合いで「あぶない刑事」の録画を見る。よく見えないけれど話を全部覚えているので最終的には画面を見ずに音だけを聞いて楽しんだ。 


これらの書いている人たちが読んでいる他の人の日記(もしくは本など)も面白そうで、追って買うメモがパンパンになった。
そう、日記を書いている人は日記を読んでいるのだ。
この2年間のコロナ禍は、いろいろな人に日記を書かせ、日記を本にさせ、日記を読ませた2年間であったのではないか。そして日記を書いている人は日記を読むことで繋がり合っているふしぎな世界がここにあるようだ。本になった日記が90年代後半のホームページのリンクのように連帯している感じがする。


で、もちろん影響を受けて日記を本にしたくなっている。どうしよう。

 

 

 

*1:ヘルシンキ 生活の練習』を買おうと思ってた

*2:ごまさんと私は大まかにはピクニック・ユニットなので人のことは何も言えない。

*3:BTSにも似た気持ちを抱いている。アイドルを観ている人たちはきっとみんな抱いている

*4:で、今回のブログはかなり彼女の文体に影響されている