カツ丼のこと


もしかしたらカツ丼が大好きかもしれない。
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思い返せば、トンカツが晩ごはんの翌朝はカツ丼を食べさせてもらえる家庭で育った。
朝からカツ丼なんて重いと思うかもしれないけど、ハムエッグみたいなもんですよ、とか言って嘘だ。ただ、カツがおつゆと卵に包まれてなんとなく優しくなっているし、そのおつゆがご飯にもやや染みているからご飯も柔らかい感じに(流動性を帯びて)いるから、食べられるんですよ。というか、出された朝ごはんは大概なんでも喜んで食べるようになったのですよ、いつからか。小学生の頃とか朝ごはんが全然進まなくてつらかったのに。

そして、未だに折に触れて食べたくなるんですよ、カツ丼。
特に連勤してたり忙しかったりで、心身がめげそうなときに食べたくなる。その度に近所のそば屋に駆け込んでみたり、コンビニでイートインしてみたり、『かつや』で松竹梅の梅を頼んでみたりして、欲求を満たしていたのだけれど、「このカツ丼を何度も食べたいな」と思うようなものには出会ったことがなかった。
それがね、出会ってしまったのです。

敬愛するイナダシュンスケさんの新刊『おいしいもので できている』を通勤路で読んでいた日。好きな食べ物、嫌いな食べ物、記憶に残る食べ物などなど、垂涎もののエピソードの中にカツ丼の話が出てきたのだった。あるお店で究極に美味しいカツ丼を食べたという、夢のようなお話に心奪われて、猛烈にその日はカツ丼が食べたくなった。
幸運なことにその日は半休で、飲食店がまだやっている時間に退勤していた。緊急事態宣言のために8時で閉まってしまうあの店この店から選び放題だ!いや、そんなに時間があるなら自分で作るか?しかしお米を炊くところからスタートしなくてはならないのでつらい。やっぱりお店で食べよう、どこに行くべきか…と逡巡していたら、Twitterのリプライがきた。


どんどん庵のカツ丼…!?

どんどん庵は東海地区うどんチェーン店で、調べてみるとサガミホールディングスが運営している。『味の民芸』も系列だ。
名古屋エリアを歩いているとチラホラ見かける。メインはうどん・そば・きしめんで、麺を頼んで茹でてもらっている横で天ぷらなど陳列されているものをトングで取って会計する、はなまるうどんのような仕組み。
名古屋に住み始めてすぐ、家の近くのロードサイド店の存在に気付いて、たまにお蕎麦やきしめんを食べに行っていた。夜遅いと、明るく広々した店内の物寂しさが苛烈でたまらなかった。なんか、誰のことも知らないところでご飯食べてるな〜っていう、宙に浮かんだような体験だった。
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そのときはカツ丼のことを気にもしていなかったのだ。なぜならまだ「ダイエットしよう」という気があったから。夜に揚げ物とお米をまとめて食べるだなんて…!と思っていた。*1
しかし今やもう、何の運動もしていないけどなんでも食べている。やるぞカツ丼!とワクワクしながらどんどん庵に駆けつけたら、かなり推されていた。メニューで1番写真が大きい。
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そして540円、安い。
頼むと、平たい小鍋をコンロにかけてカツを煮てくれる。
できたら呼ばれて、小鉢にきれいなお新香がついてくる。ビジュアル良い。
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で、食べたらとってもとってもとっても、美味しかった。
作りたてで煮すぎていないからまだカツがカリッとしてるところもあるし、もちろん卵と一体でしっとりしているところもあるし。これを煮ているおつゆに出汁がしっかり効いていて、多少しょっぱいのだがそれが良い。ごはんにタレがしみすぎていないのも出来たてゆえの幸せだし、あー合間にお新香*2ポリポリしてさっぱりしながらカツとごはんとループするの最高だーー
ってやってたらあっという間に食べ終わりました。

 


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人にうまかった自慢をしてたらたまらなくなって、翌週も食べに行きました。
カツ丼が大好きかもしれない。美味しいからしょうがないな。

 

 

 

*1:小麦粉の麺はいいのか?というツッコミは甘んじて受けます。カツ丼よりはまだマシっていう判断…

*2:大ぶりでちょっとMSGの味、だがそれが好き。