写真の撮れない場所に行く(香港に行ってきました 2)


旅行の構成要素はいろいろあるけれど、わたしにとっては未知の美味を食べに行くことと、写真を撮りに行くことが大きな2つで、まあ、世の女性の多くはそんな旅行の楽しみ方をしているのではないかと思います。
Instagramのおかげでインスタ映え(笑)みたいなことを言ったり言われたり、なんだか写真を撮ったり見せたりするのが流行りすぎて妙に揶揄されてしまう今日この頃だけど、フィルムの頃から、いい景色を見たら写真を撮ることは変わらないし、心の中に置いておけるものには限りがあるから、外部記憶装置を頼るのは悪いことではないと思います。

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そんな中、めちゃくちゃインスタ映えスポットとしてどのガイドブックにも載っている「モンスターマンション」という場所があります。正式名称は益昌大廈(Yick Cheong Building)。
建ったのは1972年で、さいきん映画などの撮影で使われて有名になったそうです。調べてたら、最近売買された物件は約30平米でHK$3.0Mと出てきたので、日本円で四千万円くらいですね。築45年のアパートにそんなに!とちょっとびっくりする値段だけど、かんたんに調べたら、香港の物件としては相場どおりのようです…さすが住宅供給の追いつかぬ国際都市。いや、話が逸れました。そんなことはいいんだ。

近くにあるお粥屋さんが めちゃうまいので、是非そちらと組み合わせて行ってください。
先におかゆの話しますと、ピータンと豚肉の入ったおかゆが超超うまいです。肉が甘く柔らかく、ピータンが大きくぷりっとしながら味がよく、その出汁のしみたご米がもったりとしてうまく、箸ならぬレンゲが止まらない一品。
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他のおかずもおいしい。余裕があったら腸粉と炸倆(揚げパンみたいなものを腸粉で巻いた謎の食べ物)も食べてください。
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偶然にもお仕事で駐在している日本の方と相席になったのですが、その方も「他の有名店よりここが旨いですよ」と証言されていました。ずっと行列ができているけど、仕切っている元気なおばさまとその影響を受けていそうな笑顔の店員さんたちの魅力もあり、味の良さももちろんあり、朝の良い時間を過ごせました。もしかしたらここが今回いちばんの大当たりだったかもしれない。また行きたいし、むしろ日本でお粥屋を流行らせてくれないかなあと思うほどでした。
金峰靚靚粥麵 - Google 検索


さて、モンスターマンションはそのお粥屋さんのすぐ裏です。こちらを見に来る観光客は後を絶たないようなのだけど、勿論そこに人は住んでいる。撮影スポットになっている中庭には注意書きがあり「事前の許可のない撮影は住民のプライバシーを守るために避けてください」と書いてありました。訪問の一か月ぐらい前に その情報をTwitterを通じて知ったので、旅行に行くメンバーとはその内容を共有されており「撮れないけど見に行こう」という気持ちで臨んだ訪問、実際に行ってみると注意書きをガン無視して写真を撮る人もいましたが、それを注意する人がいるわけでもなく、住民の方も傍観されていました。そんな状況でしたが、マナーを守れる人でいようという良心が勝ち、じーっと様子を眺めるのみで帰ってこれました。
この旅行のピークのうちのひとつはここだったと思うのですが、意外とそういう場面で写真が撮れないというのも、悪いことでないような気がしました。ただ、この場所をロケ地に使っているミュージックビデオは、つい、現地で見てしまいました。なんだかその時間を振り返ると、エモいです。

映像の中で満島ひかりさんが通った道をそのとおりに通って帰ってきました。途中でテレポーテーションする内容になっているので、すごく印象的な割に短い時間しか映っていないのですが、なんだか嬉しい。
もしここにちょっとでもお酒が入っていたら、そこで踊り狂ったり 写真を撮ったりして、住民の方に嫌な思いをさせていたかもしれないので、朝っぱらから飲んだりしないでおいて良かったなとも思いました。酒乱…