鉄、カフェイン、銃のこと

 

大ベストセラーみたいなタイトルにしてみたけど銃は出てこないし、そもそも読んでない。

 

この二週間ほど、一縷の望みをかけているものがある。
鉄剤である。
だるいよ〜、朝起きれないよ〜、疲れるよ〜、といった諸々がこれで解決するのではないかと祈っている。
もちろんこれだけでは解決しないとわかっているのだが、とりあえず祈りながら飲んでいる。全然眠いし疲れるのであまり関係ないかもしれない。でも、いつか血がみなぎって常に元気になれる日が来るかもしれない、と祈っている。

鉄剤を飲むきっかけになったのは職場の健康診断である。貧血の判定が出て、「まぁそうかもね」と読むだけ読んで放置していたら、人事に呼ばれて「病院にかかりなさい」と指示された。あらっ、そんなに深刻なのかしら、と焦って人事の人の机に行ったら、同じ書類がドドドと積まれていて、要再検査の人が大量発生していることがわかりホッとした。法律が変わったのか、今年から結果の思わしくない社員をきっちりフォローアップすることになったらしい。ありがたいけど、業務が増えて不憫なのは人事である。

はぁそうですかそうですか、と休みの日に大人しく病院に行ったら「内科じゃなくて婦人科かもしれません」と言われ、そうですかそうですかとそのまま婦人科へ病院のハシゴをした。久しぶりに例の内診台に乗ってお腹の中を見た。なるべくあの台に乗らずに残りの人生を送りたいなと思っていたけれど、そうもいかないものなのだな。
婦人科では結局なにも問題はなく、採血した血の中身はやはり鉄不足で、数値としてはフェリチンが測れないくらいなかった。よって鉄剤が処方された。

医者からは、鉄剤を飲むと便が必ず黒くなるので驚かないで、ということと、飲んだあと吐き気がするかもしれません、ということを言われた。そんなこと言われたら絶対吐き気がする気がしちゃうじゃん、逆プラセボ!と思ったが実際はそこまででもなかった。便はびっくりするほど黒くなった。驚かないでと言われても素直に驚いた。

昔々に読んだ内田春菊のマンガで、鉄剤とコーヒーの相性が悪いから云々、というのを読んだ気がして、調べたら、「タンニンを含む飲み物と同時に摂取すると鉄剤の効き目が下がります」とのことだった。
タンニンか。タンニンと言えばワインだが、薬を飲ませようとする人はまさかこちらが酒を飲むとは思うまい。それよりなによりタンニンはコーヒーだけでなくほぼすべてのお茶に含まれているだろう。
わたしは朝起きたら大抵コーヒーを飲み、会社に出勤したら紅茶を飲んで日中を過ごす。ちょっと調子が悪いときはほうじ茶を飲む。最近は暑いので水出し麦茶を作ってゴボゴボ飲んでいた。…この辺の水分がすべて効き目を下げてしまうのだという。困った。

初めの一週間は寝ても覚めても水を飲んだ。あまりに暑いので水でも大きく不満はなかった。水道から出したらすぐ飲めるし、冷蔵庫に入れておけば一晩置かずとも冷たく美味しくなって助かる。お金もあんまりかからないし、家の中のお茶っ葉コーナーがシーンとはしても、すぐ腐るものでもないから消費を焦る必要もない。これは心身ともにヘルシーな活動だ!水!W…Water!
といった具合に水のポテンシャルに目が開かれていたある日の夕方、どうしても外で仕事がしたくてドトールに入った。
ごく自然にアイスコーヒーを注文し、ごく自然に飲んで、驚いた。
濃いのだ。あまりの刺激に胃がびっくりしている。
慌てて牛乳を追加で頼んで、勝手に割って飲んだ。水分が予定の2倍になった。
お腹がポチャポチャいうなあ…と思いながらの帰り道、なぜか珍しくキレイになりたい気持ちが湧き出てきて、帰ってすぐちゃんとクレンジングをしてから石鹸で洗顔もして顔のパックをして美顔器を使った。そしてストレッチをして腹筋とスクワットもした。Duolingoもやった。
なんだろうこれは、元気すぎて明日死ぬのかな、といぶかしんだが、すぐに気が付いた。さっきのコーヒーのせいではないか?タンニンではなく、カフェインだ。
たった数日カフェインを休んでいただけで、どうしよう、こんなにてきめんに影響するものだったのか。今までは寝る前にコーヒーを飲んでもすぐに寝られるくらいだったのに、なんと恐ろしいんだ。
この日はそのままテンションが下がらず、朝まで寝付けなかった。5時から1時間だけ寝て、起きて、高いテンションのまま朝ごはんとしてカップ焼きそばを食べてしまった。そして鉄剤を飲んだ。

健康を目指すならまずカップ焼きそばを食べるのをやめるべきだとわかっている。カフェインをどうする、タンニンをどうするではない。
と言いながらとりあえず鉄剤を飲んで、水を飲んでいる。鉄剤は真っ赤で血によく効きそうだ。


f:id:l11alcilco:20230804210954j:image

 

 

Duoとのこと

5月の半ばに「どうなるかわかんないけど何か勉強しないと、、、とりあえず中国語やるか!」となり、語学アプリのDuolingoで久しぶりの語学学習を始めた。
語学っていつも最初が1番楽しいと知ってはいるのだけど、Duolingoは噂に違わず本当に良くできていて、面白い。テンポがサクサクしていてゲーム感覚で課題を進められるのが楽しいし、同じ単語が出てくる頻度がしつこすぎず足りなすぎずちょうど良くて、記憶に残る気がしている。


隙間中の隙間時間である、会社を退勤してから会社の最寄り駅までの10分程の徒歩時間にDuolingoを開くとちょうどよく2−3レッスン消化できることに気が付いてから、珍しく良い習慣になった。これが、仕事終わりのモヤモヤした感じをテンポよい正解音でかき消すことにもなり、なかなか良い。スマホゲームをやっている人の感情ってこんな感じかなぁと思う。生活と全く別な世界にポコッと入り込んで、たまに悔しいこともあるけど大体は自分のやっていることを肯定してもらえる時間。本当はこれをノートに書いたり復習したりするべきなんだろうな〜と思いつつ、何も続かないよりマシだろうと、ゲーム的にそのまま流している。
Duo(Duolingoのキャラクターで緑色のフクロウの子どもみたいな生き物)から毎日メールと通知が来て、連続日数を更新するようにフォローアップされる。レッスンをしていないと日付が変わりそうになる30分前に「あと30分しかないけど…」と通知が来て、ハッとなって1レッスンだけやって寝たりもしていた。
6月の日記を見返すと頻繁に「Duolingoした」とメモしてある。6月6日には「Duolingoしか楽しいことがない」と書いていて不安になる。こうやって人はインターネットに取り込まれて孤独になっていくのだな…

と思っていた矢先。7月に入ってすぐの一週間の海外出張で、わたしはDuoからの連絡を無視し続けた。
移動に次ぐ移動。時差。緊張。出勤も退勤もないイレギュラーな生活。定形の行動が崩れて、Duoとの関係も潰えた。わたしの習慣なんてこんなものなのだ。出国直前は英語や行き先の言語を中国語に追加してやってみたりしていたけど、降り立ってしまえばレッスンなんて思い付きもしなかった。

帰国してからもDuoからの連絡は止まないのだが、今度は突然こちらが韓流アイドルのATEEZという人たちににハマってしまい、明けても暮れても彼らに癒しを得るようになってしまう。「Duolingoが1番楽しい」なんてことはなくなってしまった。「ATEEZが1番楽しいしかわいいよ」と言ったら、Duoはきっと泣いてしまうだろう。

Duoからの連絡は「3分だけ時間ある?」だったのがいつの間にか「もう5日も経っちゃったね…🥺」のようになり、最終的には「ごめん、しつこすぎた?もうメールしないでおくね…」と別れのメッセージになった。
f:id:l11alcilco:20230729231712j:image

追いかけられる恋愛が終わった瞬間に失ったものに気が付いて、時既に遅し…とはならないアプリとの関係性に感謝して、わたしはDuolingoを大変久しぶりに起動したのであった。
1ヶ月前に覚えた中国語は半分くらい残っているようだ。

 

一週間の夢のこと

7月1日から一週間、10年ぶりくらいでヨーロッパに行ってきた。しかも出張、会社のカネで。大いなる守秘義務があるためインターネットに書けないことが殆どなのだが、嬉しかったので書けることだけ書いておく。

 

7月1日 土曜 雨
前夜から寝ずに午前3時を過ぎた。4時のバスに乗って中部空港に行くのだ。今回の旅はA国で二泊、移動してB国で四泊、C国でトランジットして帰るという行程。
さっそくA国からB国へ移るLCCのチケットの出力ができていないことに気付き、セブンイレブンコピー機でなんとか出した。小銭がなく、五千円札を崩した。現金があと4990円しかないけど、大丈夫だろうか。
飛行機に乗ってすぐ、離陸する前にツナマヨおにぎりを食べた。飛んだらすぐ寝た。気付いたら羽田着。熟睡。
羽田は保安検査場でラップトップをカバンから出さなくて良くなっていた。殆ど待ち時間もなくA国への飛行機に乗り込み、途中になっていた『女二人のニューギニア』を読む。
今日はもう休みの気持ちで、トマトジュースとビールを組合せて飲んで楽しくなる。隣の人は水のみ。ご飯も食べない、14時間も飛ぶというのに。飛行機の経路は全くロシアに入っていかなくて、むしろバンクーバーに向かって飛んでいるようだった。
食事はドリアか照り焼き丼かで、迷った末に照り焼き丼にした。それが全然甘ったるくない、香ばしい鶏の照り焼きで感激した。金平ごぼうも美味しかった。海苔巻とマカロニサラダが付け合せになっていて、炭水化物過多なのだが、食べた。デザートのハーゲンダッツもありがたくいただいた。
機内の画面でBTSのニューヨークコンサートが観られるのですごく観たいのだがなぜか我慢している。帰りに観よう、と念じながら代わりに『柚木麻子と読む 林芙美子』を読み始めた。何故か調子に乗って5冊も本を持ってきている。
寝たり起きたりしながら本を読みながら、仕事しなくていいのかなと思うのだが、今日は忘れる。一旦『林芙美子』を仕舞って、ひらいめぐみ『踊るように寝て、眠るように食べる』を読んだ。夫の方との関係性が羨ましいな。そしてこの人もリクルートなのか、となる。物を書いている人のリクルート出身率高すぎませんか。離職率もすごいけど、面白人材排出率、つまり新卒採用の精度が高い。
本を置いて『Mercel the shell with shoes on』を観た。少し怖かったがハッピーエンドでほっとした。続いて『after sun』を観る。集中力が続かない。横の人やら斜めの人の『すずめの戸締まり』『君の名は』を見ながら観ている。遠くから見ているとアニメは髪が揺れすぎている。
軽食として、鮭・卵・青菜の三色丼を食べた。パンケーキとの二択で迷ったけど、明日からパンケーキはいくらでも食べられる気がしてやめた。美味しかったので正しい選択だった。
三品輝起『すべての雑貨』を読み始める。これは面白い、良い買い物をした。
長い長いフライトは北極の上を通って終わった。空港の外に出たらとても爽やかな気候。湿気からの開放。もう帰りたくない。
タクシーで近くのホテルへ。チェックインしようとしたら、「予約したのはここじゃないですよ」と言われる。系列の別なホテルに降ろされたのだった。タクシーに乗るほどの距離でもないので、荷物を引いて15分ほど歩いた。
部屋に荷物をおいて、一階のレストラン兼バーでピザとビールのお得セットを頼んだ。ピザがちゃんと美味しい。ビールは「これが地元の銘柄です」と言われたペールエール。とてもうまい、そしてとても良く効く。一緒に来た同僚と仕事の話をしながら、すぐ酔ってしまう。
20時頃に部屋に戻って、ベッドにごろん、としたらもうダメだった。寝た。
f:id:l11alcilco:20230720085718j:image

7月2日 日曜 晴れ
何度か目が覚めつつ6時に起きた。涼しい。8時に取引先と合流して朝食ブッフェ。オートマチック・ヌテラ・マシンがあった。
仕事。うろうろ歩き回って17時頃ホテルに戻るバスに乗る。バスは景色が楽しいのだがおそろしく遠回りで細々と止まるので、全然ホテルに辿り着かない。
やっと戻ってきてすぐに荷物を持って、一人で隣の空港までまたバス。20時40分くらいに空港に着き、そこからまたエアポートホテルまでバス。外が寒くて、鼻水が止まらない。なお、明日は朝4時起きである。バカなのか。早起き大好きなのか。あと、バス大好きなのか。
昼食が重かったのでお腹が全然空いていない。晩ごはんはホテルのレストランでトマトスープとブロッコリーと豆を食べた。ウルトラライトダウンが必要だったなあ。寒い。22時半、寝る。
f:id:l11alcilco:20230720085740j:image

7月3日 月曜 雲
4時前に起き、ワーッと支度して4:45のバスに乗る。寒い。B国へ向かう空港は想像より大きく、お店がいっぱい入っていた。誰宛のお土産になるかわからないが便利そうなティーバッグなど買っておいた。
カフェでporrigeを買ってみたら、グラノーラに温かい豆乳をかけたものだった。ふやかして食べてねと言われ、そのようにした。美味しいのか美味しくないのかわからないけれど、温かくて柔らかくて助かる。この調子で大丈夫だろうか。気合を入れるためにジンジャーショットも飲んだ。なんかわからないけどなんかに効いてる気がします。
食べ終わって空港の中をうろうろしていたら、別な店にもっと美味しそうなporrigeがあって(ココナツミルクのporrigeと書いてあった)、悔しかった。
7時半発の飛行機に乗りこんで離陸前から即寝。2時間熟睡。
B国の空港でパスポートにハンコをもらい、感無量となる。20年ぶりにこの空港に来た。まさか仕事で来れるとは思っていなかった。なんの音もしない静かな空港。古いけどきれいな空港。しんみりしてしまう。
空港のカフェでハムチーズサンドとカフェラテの昼食を取りつつ、先月の勤怠業務など地味な仕事をした。シチュエーションに興奮しているのでつまらない業務でも楽しい。浮かれている。
タクシーで仕事場へ。打合せなどするが、ひとりのメンバーの喋るスピードが速すぎて言ってることが2割くらいしかわからなかった。もう少しゆっくり話してもらうように次回会ったら頼もう。
あれこれしたのち、宿泊先へ。とても良い環境で感激する。改めて自分の来し方を思って、もうこれがゴールだから辞めてもいいやと思ってみたり、このご褒美に感謝して500倍しっかり働こうと思ってみたり、人生もうこれで終わりだと晴れ晴れした気持ちになったりと、情緒が落ち着かない。
宿泊施設内のカフェで晩ごはんを食べようとするも、温かいものがないので断念。結局ずっと寒くて、スープが飲みたい。Google Mapで検索して適当なところに行き、ビールと野菜の焼いたのを食べた。スープはなかった。人参、パースニップ、カブ、ミニトマトがグリルされていて、塩コショウ、バルサミコ酢で。美味しい。大当たり。温野菜は助かる。隣のテーブルでは2家族合同ディナーのようで、どでかいボウルに入った大量の小エビを、みんな殻を剝きながら食べていた。
22時になってもずっと日が暮れないので変な感じがする。ブラインドを閉めて寝た。
f:id:l11alcilco:20230720085819j:image

7月4日 火曜 雨
5時頃起きる。朝ごはんはビュッフェ形式だった。お茶と小さなデニッシュ2個とチーズとヨーグルトを食べた。
取引先やよその企業のみなさまと合流して、朝から晩までインプット。脳がずっと興奮していて疲れない。
夜は日中と同じメンバーと会食で、まさかの昨日と同じ店。とにかく雨で寒いのがつらくて、ビールがあまり進まない。デザートに巨大なパンナコッタが出た。さらに巨大なブラウニーとレモンアイスとマリネしたいちごも出た。お店の人が「Do you want more いちご?」と訊いてくれて嬉しくなり、おかわりして食べた。

7月5日 木曜 雨
雨で寒いのは変わらず。防寒用にウィンドブレーカーを買おうとするが、欲しい色はサイズがなく、どうしようどうしようとまごついているうちに時間切れになった。
朝からまた各社合同でインプット。面白いが、どんどん寒く、喉が痛く、体が変に熱くなってくる。なるべく口を開けずに過ごす。同じように具合が明らかに悪そうな人がいて、気付いたら会議の途中でいなくなっていた。無理は禁物だが、こんな海外まできた無理しないのも勿体ないので、耐える。
途中、雨がざぶざぶ降る中を歩き、靴の中まで水浸しになり、さすがに泣きそうになる。いったん部屋に戻って靴と靴下を履き替え、服をもう一枚着て、ついでに温かいお茶と葛根湯を飲んだ。持ってて良かった葛根湯。
間髪入れずに次の会議。ちょっと何言ってるかわからないところもありつつ、勢いで言いたいことは言う。
夜はまた会食。ビュッフェ形式なのだが、前菜が下がってから主菜が出るまでがとても長く、満腹になってしまう。しかし主菜が出てきたらそれはそれで全種類しっかり食べた。みんな美味しい。そして主菜が下がってからデザートが出るまでもとても長い。3種類のデザートとチーズが出てきたが、さすがに1種類しか食べられなかった。雨がざんざか降っている。18時から22時までゆっくり食べて喋った。
宿に戻って、身内だけで打合せを急に始めた。けしかけたのは私である。みんな疲れてるのにごめん。24時頃さすがに眠くて解散した。寝る前に麦味参顆粒を飲み、明日元気になることを祈る。これですべての漢方が尽きた。なお、毎日クエン酸とアミノプロテインと酸化マグネシウムキャベジンはデフォルトで飲んでいる。

7月6日 金曜 晴れ
晴れている。寒いけど。ホッとする。時間がなくてヨーグルトとデニッシュだけを高速で食べた。
8時出発で最後のインプット。あまり実務に関連しないので気楽に楽しめた。ここでほとんどの出張メンバーとは分かれて、単独行動へ。
打合せその1は相手がめちゃくちゃ良い人だったので、最高、結婚して!と思ったら、既婚者だった。
打合せその2、その3と続いて、行程終了。お土産としてスーパーで駄菓子をたくさん買った。晩ごはんはなにも食べる気が起きず、ポテトチップスと、非常食として持っていた無印良品のキャロットケーキを食べた。仕事をしなくてはと思いつつ、全然進まないまま寝た。
f:id:l11alcilco:20230720085839j:image

7月7日 土曜 晴れ
最終日なので朝ごはんを一人でしっかり満喫した。12時手前まで仕事なのか遊びなのかの時間を過ごし、バスで空港へ。
バスに乗ろうとしたらまさかの現金決済のみ、カード使えず。同じバスに乗ろうとした他のお姉さんたちと一緒に困惑する。誰一人として現金を一切持っていない。焦ったが、アプリ経由で支払ったらよいことがわかる。現金はないけど4G回線はあります…ということで先にバスに乗り、空港に着くまでの間にアプリをインストールして決済した。この一週間で初めて現金のことを考えた瞬間だった。両替も現金引出しもしないまま旅が終わろうとしている。
C国への飛行機は機内ドリンクの売り込みで「バカンスのスタートにスパークリングワインはいかがかね〜」とアナウンスしていて面白かった。もうみんな夏休みなのだな。
トランジットで4時間待ち。仕事する気にならず、レストランに入ってビールを飲みソーセージを食べる。付け合わせのポテトサラダがシンプルで酸っぱくてうまい。憧れのDPZライター・ほりべさんのことを思い出しながら食べた。完全にお腹がいっぱいだが、気合で乗口の近くのカフェでプレッツェルと瓶のIPAを買って食べる。プレッツェルが塩っぱくて驚きの相性の良さ。プレッツェルがもっと日本でも流行ったらいい。
もう食べられない、と寝言のようなことを思いながら飛行機へ。現地のグランドスタッフが浴衣を着て団扇を配っていた。足元は革靴なのもかわいい。そういえば今日は七夕か。日本はさぞ暑いんだろうな。嫌だ。
帰りの便はヴィーガンミール指定していたので、自動的に食べ物が出てくる。バスマティライスにお豆腐を焼いたのが乗って、ラタトゥイユぽい少しスパイシーなトマトソース。美味しい。またレッドアイをやってしまったが、ワインにすればよかったと後悔した。隣の人は日本酒を飲んでいた。
f:id:l11alcilco:20230720085958j:image

7月8日 土曜 晴れ
寝たり起きたりで、結局持ってきた本を全然読まず、アメトーークを観たり、マーサ・スチュワートの園芸番組にスヌープ・ドッグが出るのを観たりして過ごした。
朝ごはんは豆、トマト、マッシュルームとほうれん草を焼いたり煮たりしたようなものに、フルーツ。美味しかった。
飛行機を降りたらムアッと暑くて、帰ってきてしまったな、と汗が出る。
検疫も税関もやたらに誘導する係員が多くて、やたらに案内放送が流れていて、ああ、本当に帰ってきてしまったと悲しくなる。
飛行機は乗っているだけで何も動いていないのに、どうして降りた瞬間お腹が空くんだろう。とりあえずラーメン食べたい。夢のような1週間が終わった。

6月の日曜日のこと

6/4 日曜 晴れ
朝、温かいものが飲みたかったけど遅刻しそうなのでそのまま出てきて、でも電車まで時間があるからミニストップに飛び込んだ。美味しいおにぎりとアイスカフェオレを買って食べたが、アイスカフェオレがお腹にフィットしない。なぜアイスカフェオレにしたのか。ちぐはぐ行動。
出勤して働くが全然機能しておらず自己肯定感が死ぬ。もう定時より前に帰ってしまいたくて、酒も飲みたくて、FさんKちゃんに連絡する。まさかの二人とも快諾してもらえた、のに、隣の部署の人に呼ばれて断れなくて、そこから1時間半打ち合わせ。話しながら仕事の準備が全くできてないことに気付いて、また自己肯定感が死ぬ。
21時にサイゼで合流して、ビールを飲んだ。先に飲んでいた二人は二軒目なのにしっかり一緒に生ビールを飲んでくれたから頼もしい。いろいろと喋って、聞いてもらって、楽しくて、有難い。スパゲティもピザも食べて、アイスも食べて、ランブルスコをゴクゴク飲んで、完全に酔っぱらった。酔いの勢いとともにコンビニで2千円も買い物する。カップ麺とワインとポテトチップス。どれも食べずに寝た。
f:id:l11alcilco:20230702140211j:image

6/11 日曜 雨
朝、パンに卵をのせてトーストして食べた。
仕事は今日もたいへんエキサイティング。するりと馴染む人、一向に馴染まない人、困ったお客さん、困った隣の部署、などなど、目白押し。
21時半退勤。一人焼肉に行って、ハイボール、ラム、牛タン、カルビ、キムチ。どんな食事もよっぽど一人で不満がないけど、一人焼肉していると、もう一人の自分が急に現れて「40歳、女、ひとり、仕事帰り、深夜、焼肉、美味しくもない、楽しくもない」と見せてきて、すごく寂しい人間であることを認識させられる。怖い。焼けるのを待つ時間が良くないんだと思う。カレーとか牛丼とかは、食べ始めると集中して他のことを考える暇がないのに比べると、焼肉は一人で肉を見ながら停止している時間がどうしても出てしまう。
そのままラーメン屋とハシゴか?と思うが、抑えて帰宅。家にあふれるカップ焼きそばを食べた。2個。何を抑えたのか。

 

6/18 日曜 晴れ
昨日のスンドゥブと牛丼のせいか、泣いたせいか、起き上がれず、午後から出勤。やってしまった。
会議するがなんだか回らず。何も食べずに1日終わり帰宅。金曜日に作った炒めものを煮直して食べるなどして寝る。

 

6/25 日曜 晴れ
休みで寝ていたが13時から会議なのでオンラインにて参加。24時間以上無飲食していたせいで低血糖になり、目の前が真っ黒になり、手探りでPCの画面をつけるが、ざらざらして全然見えない。焦ってゼリー飲料を飲んだりまんじゅうを食べたりしてなんとかする。15時半からも会議をオンラインで聞いた。
思い立って18時半からリトルマーメイドを映画館に観に行く。
エンディングは良かったのだが、そこに辿り着くまでの無知で我儘な若者2人がちょっとつらい。アニメーションだとそこまで気にならなかった気がするけど、実写だと立派な大人に見えてしまうからつらいのか。それと、アリエルがものを食べるシーンが出てくるのだけど、そもそもどういう食生活を送ってきたのかわからないからか、なんだか違和感。
あと、フランダーはやっぱり見慣れないよ。平たすぎて。

 

 

眉毛のこと

先月、長らくの友人の結婚式があったので、ちょっと自分の見た目のことを考えないといけないなと思った。写真に写って、それが友人の一生の思い出に残るだろうから、あまりにもぐだぐだで行くのはよくない。
とはいえ痩せるとかなんとかは今さら無理なので、とりあえずまつげパーマをあててやる気を出すことにした。ついでにメニューにあった『眉カットと描き方講座』をセットにして予約した。

おかげさまでまつげはバッチリ上がり、眉は…
眉毛は…
ガッツリ刈られた。

ここ半年か1年くらい、「もしかしてフサフサの眉毛が流行ってませんか」と勝手に思って、かなりボサボサに眉毛を生やして、描くこともせずに日常(=出社)を過ごしていた。そんなわたしの立派な眉毛はちょっと目を瞑っている間にバッサリと刈られほぼ半減してしまった。
ショックだった。
先に「こういう形の眉毛がよさそうですね」と合意は確かにしたけれど、ここまで細くしますとはあなた仰らなかったわよ、と恨みがましい目を施術者に向けてしまうが、彼女は私の気持ちなぞ露知らず。
「いらないところはみんな剃りましたので、足らないところを描いていきますねー。私が半分描くので、もう半分はお客様で…」と作業を進めていく。いらないところって!眼鏡は顔の一部です、みたいな気持ちで、そこも眉の一部でしたが…!?と心の中で大声を出す。
私は半分心ここにあらずになって、ろくに描き方も聞かず、ただ、眉毛に3種類も4種類も化粧品を使うなんてすごいなぁと思った。眉マスカラというのは髪色が明るい人が使うものであって、私には関係ないものだと思っていたが、めちゃくちゃマスカラされて、心のへぇボタンを2度押した。帰り道にドラッグストアで眉マスカラを買ったけど、その翌日ともう一回くらいしか使わなかった。私はどうも鈍感で、眉マスカラの効果がなんなのか、微細な変化を自分の顔を見てもわからないのだった。

果たして、もう眉毛を描くしかない状況に追い込まれた私の顔面。眉毛がどうも細すぎる気がして数日間はがっかりし続けていたのだが、仕方なく、教えてくれた人の言っていたよりも太めに描く。すると、なんだかつまらないけど、描いたほうがいいな、となるのだった。ONの顔になる。布団からどろどろと抜け出た沼のような顔のまま出勤していたのとは、やはり少し変わる。顔の中に線があるだけでこんなにも、と驚く。
長らくサボっていた、"朝の洗面台の前で自分の顔をよく見る"という苦手な作業を果たして続けられるかと不安だったけれど、およそ1ヶ月、無い袖は振れず背に腹は代えらず、無い眉毛のために描き続けることができている。さらに眉毛まで描くとなんとなく目にもなんか塗りましょうかという気分になってくるからすごいものだ。ちょこっとでも手を動かせばその後の作業がどんどんできるというよくある"やる気を出す方法"を地で行っている。

一方で、刈った毛はだんだんと生えてもくるわけで、今後の眉方針をまた迷い始めている。あの施術者の人が言ったとおりに、"いらないところ"は剃るべきだろう。しかしもう、どのくらいの範囲が"いらないところ"だったのか私は覚えていないのだった。

 

この一週間のこと

5/28 日曜 晴れ
二日酔いと生理痛でダメ。午前休み。文フリで買ってもらった本をやっと受け取って『われわれの雰囲気』を読み始めたらとても面白い。女友だち同士の愛情、想像を絶する大怪我と後遺症、その詳細を知らずに案ずる気持ちと同時の日常、それらを本にして売る発想。すごいな。20時に退勤して、松のやでカツ丼を食べた。


5/29 月曜 雨
昨日より少し元気。仕事はやることがあるのになんだか停滞した感じ。20時退勤し、疲れ切ってコンビニでランチパックのいちごジャム&マーガリンを買い、駅のホームで飲むように食べてしまった。大雨になった。傘が折りたたみしかない。セブンイレブンで辛いフライドチキンを買って食べて、夕飯とする。栄養不足運動不足。


5/30 火曜 曇
疲れてる。ふくらはぎが痛い。運動が必要とわかっているが筋トレを予約する元気が出ない。
通勤路で『闘いの庭、咲く女』を読んで、すこし心が温まる。自分の理想の生活はなんなんだろうと想像すると、結局宝くじを当ててお金の心配なく遊んで暮らすことなのではないかと気付いてしまい、情けない。常に移動し続けて見たことないものを見て暮らせたら理想かもしれない。
昼過ぎ、大量に荷物を出すために、ヤマトさんがキビキビお仕事されているのを眺めるだけの20分くらいがあった。暖かくて晴れてて風が吹いてて、隣の部署のみんなも助けてくれて、とても良い時間だった。
20時にダッシュで退勤して21時までのゆうゆう窓口で仕事絡みの郵便物を出す。間に合ったのでご褒美にスタバでケーキとコーヒーとドーナツとアールグレイブーケティーラテを。飲み物と食べ物がそれぞれ2回出てきていますが間違いではありません。無駄遣いしてなにかを晴らそうとしているが、特に晴れない。成城石井で5%オフのポテトサラダとベーグルも買った。ポテトサラダ半分と、スライスチーズを食べた。なにがなにやらの食生活で無理なのだが、立て直せない。


5/31 水曜 曇
目が覚めてテレビをつけたらJアラート。沖縄は無事らしい。
仕事しているうちに胃が痛くなってくる。いろいろうまくいかなさそうな、うまくいってないようなことがあるから。
22時退勤。かわいい後輩の話を聞いて楽しい帰り道だった。ファミマの豚肉サラダ、おにぎり、ぼんじりで晩ごはん。デザートにレーズンウィッチ。

 

6/1 木曜 晴
『闘いの庭、咲く女』を読み終わった。一条ゆかりの話があまりにドラマチックで締めくくりにぴったり。結局すごい努力の積み重ねが人をある場所へ導くのだという当たり前の事実に、厳しいなー、努力してねえなー、と思う。
いただきものの再配達の期限が来てしまい、荷物を受け取るために早帰りした。家に食べ物がないのでスーパーに寄りたいが、そうすると19時以降に設定した再配達に間に合わないかも、となって結局またコンビニで唐揚げ。毎日唐揚げしか食べたい気持ちにならなくて困る。唐揚げを食べるとさらに何か食べたくなるので、冷たいたらこスパゲティも買った。宅配業者さんを待ちながら食べて、仕事をしようとするが、猛烈に眠い。ぎりぎり荷物を受け取って、20時過ぎから寝てしまった。送られてきたものは面白い柄の靴下で、私はこういう人だと思われているんだなと客観視。


6/2 金曜 台風で大雨
可愛いお菓子をもらったので食べたらすごく美味しくて驚いた。大阪の粟玄というお店の『和洋』、アーモンドとかがキャラメルに包まれているようなお菓子。これは薦めたくなる、あげたくなる。
警報レベルの大雨で、車出勤のメンバーは昼頃退勤してもらった。わたしは結局20時過ぎに退勤。雨が少し収まっていたのでスーパーに寄って野菜やら肉やら買って、帰ってきてから明日以降の食糧作り。鶏を焼いて小松菜ともやし炒めのコンボにしたのと、新玉ねぎときのことブロッコリーと鰤をトマト缶で煮たもの。
最近夜にチーズが食べたくなって、とろけるスライスのをそのまま食べていたのだけど、せっかくとろけるのにもったいないなと、わざわざとろけないのを買ってきた。早速とろけないのを食べてみたらとても塩っぱくて悲しい。今度からとろけるのをたくさん買おう。


6/3 土曜 晴れ
ポテサラチーズトーストの朝食。晴れているがまだ新幹線は止まっていて、お昼まで動かないらしい。
お天気のせいかなんのせいか頭がスッキリして、やらなきゃいけないけどやっていなかった仕事がサクサクと進められて爽快だった。しかしいつの間にか19時になり20時になり21時になり、結局猛烈に疲れて退勤。
るるるるんの『付箋』を読み終えた。かとうさんの作品の設定にびっくり。3作品それぞれ別の面白さがありつつ、重なる事柄が出てくるのが不思議で楽しい。るるるるんの3人は一緒に小説を書く仲間ではあれど、関心事や主義はバラバラで、それをお互いリスペクトしているんだろうな。わたしとごまさんは二人でなんとなく似た価値観を共有しており、もちろん全く違うところもあるけど、たまに互いに愛を誓い合いながら活動しているから差が大きい。


6/4 日曜 晴れ
朝からなんやかんやと働くが全然機能しておらず自己肯定感が死ぬ。もう帰ってしまいたくて、酒も飲みたくて、18時頃FさんKちゃんに連絡する。パッと返事が来て二人ともに快諾してもらえた、のに、直後に隣の部署の上司に呼ばれて断れなくて、そこから1時間半打ち合わせ。全然仕事ができてないことに気付いて、また自己肯定感が死ぬ。
半泣きになりながら21時にサイゼに集って、ビールを飲んだ。いろいろ喋って聞いてもらって、楽しくて、有難い。スパゲティもピザも食べて、アイスも食べて、飲みすぎた。酔っぱらってコンビニで2千円も買い物する。カップ麺とワインとポテトチップス。どれも食べずに寝た。

 

 

*1

*2

*1:他の方の週日記を読んだら楽しかったので載せてみたのですが、疲れた疲れた書いていてあまり楽しくない内容になってしまった…

*2:読んだ本はみんな面白いのでぜひ

パワーとインポスターのこと

せっかく前回の日記で脱ほむを宣言したのに(そうだったの?)、締め切った部屋で三日間寝倒して出勤予定をぶっつぶすというのをやってしまった。かつてのほむほむだって会社にはちゃんと行っていたし役職を全うしていたっぽいのに、ダメすぎる。

パワーの排出がまばらすぎて、安定しないことが本当に大きな課題だ。

インポスターシンドロームと呼ばれるものがあって、成功した(とされる)人が「私は今このポジションにいるけれど、いつか化けの皮が剥がれて不出来な奴だと皆に失望されてしまう。私が詐欺師(=インポスター)であることを皆はいつか気付いてしまう」と恐れることだという。
わたしにはこの気(け)があるが、残念なことに、わたしがダメであるということを既に勤め先や友人のみんながわかっているので、そんなに心配する必要もない。
それでも一定の信頼感を少しずつ少しずつ削っていっているんだろうなと思って、寝ながら悲しくなって泣いたりする。泣くなら働けばいいのに、そのままもう一度寝る。

エンジンが一度稼働できれば、グズグズ言いながらも働くことができて、それこそ余暇とか趣味とかってなんだっけというくらい働く。*1本当に仲里依紗You Tubeで爆買いの様子を見ることが好きなんだっけ?かつて楽しんでいた「花を生ける」とか「カレーを作る」とか「絵を観に行って素敵だなと思う」みたいなことはどこへ行ったのだろう?でも全然そんなことをやる気にならない。カップ麺しか食べる気にならない。
エンジン稼働中は、なんでここまで自分を捧げないといけないのか?とさえ思うのだが、実は誰にも要求されていない。自分を捧げるスタイルをとっているのは自分の選択なのだ。要は仕事が楽しいし好きなんだろうなと最近諦めがついてきた。自分の能力が発揮されているなと思えることが楽しいし、取り組んでいることに誰かが協力してくれると嬉しい。
しかし先週は書類1枚ファイルにとじるのもなんだかどうしても「できない」気持ちになって、ああだめだだめだと思っていたら結局こうやって欠勤することになってしまった。
パワーの排出が安定しないことが本当に課題なのだ。


名古屋に来て5年経ち、もう40歳まで秒読みになってきたが、はたして何をやってきただろうかと思うと何も出てこない。どんどん衰えてきていることだけが見える。
インポスターシンドロームは他人と自分とを比較するのが根本原因だというが、他人と自分を比べずに社会生活が果たしてできるか?
できない。
けど、もしかすると来週にはできるようになっているかもしれない。早くその域に達したい。

 

 

*1:ただし寝ているときも余暇とか趣味とかなんだっけと思っているのでつらい。