ほむほむ…のこと

 

穂村弘のエッセイを最初に読んだのはいつだったか、忘れてしまったけど、最初に買った文庫(たぶん『世界音痴』)がすごく面白くてどんどん過去の作品を探して読んで、新しいものを買っては読んでとやっていた。


モテないとか、仕事ができないとか、生活ができないとか、菓子パンをベッドで食べるとか、若かりし頃の「ほむほむ」の様子が心に刺さって、私も短歌を書く…のではなく菓子パンをベッドで食べていた。
いま思えば当時の彼の文章にあらわれていた社会に対しての畏れと、それに対する私の共感は、若さゆえのみずみずしさから来ていたように思う。


時は経ち、穂村弘はモテないモテない言いながら結婚した。変に生活感を出してくる訳ではなく、歌人としてのみずみずしさや強い眼差しを持ったまま業界の先駆者として活躍している。
一方読者の私はみずみずしさを失って乾き、彼の世界観に浸ることから遠ざかってしまった。内面がどんどん鈍化して、細かなきらめきに目を向けている人を見ていられなくなっている。
さらにその一方で、自分のダメさを文章で書くということにつけては彼の影響を私は多分に受けており、"露悪"ではなく露"弱"的な態度をとる癖がやめられない。それで安全な人物として振る舞っているのは、悪くないけど良くもない気がしている。


そんなこんなで、実家に置きっぱなしにしていた彼の著書を一旦手放すことにした。名古屋駅近くの本屋さん『NAgoya BOOK CENTER』内のレンタル棚で売ってます。ご関心のある方はぜひお立寄りを。NAgoya BOOK CENTER - Google 検索


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全部とても面白いので。