広島名物、やっぱりどこかで食べないとねと思う程度の気持ちで、お好み焼きを食べに行った。
お好み村という、お好み焼の名店が集まっているビルがある。ワンフロアに7軒くらい、鉄板をひしめきあわせていて、2階から4階まである。
その隣には「お好み共和国」という店があり、「お好み焼 村長の店」もあり、斜向かいには「お好み焼き へんくつ」もある。お好み焼きに関するあらゆる主義・主張があふれた一角になっている。ということはもうありとあらゆるブログに書かれているんだろうな。
4階の「厳島」というお店がいいよと聞いて行ってみた。
エレベーターを降りてびっくり。びっっっしりと、修学旅行なのか遠足なのか、小学生が鉄板を囲んでお好み焼きを頬張っていたのだった。そのフロア、全ての店で。
「あ、大人がいる!」と思ったらそれは先生とバスの運転手さんたちの一群で、どうにも平日昼間一人で観光している女の入る隙はないようだった。
(ダメダメと思いつつおもしろくて写真を撮ってしまった)
しばらく「厳島」の前で佇んでみたのだけれど、相手は小学生なので全然食べ進まない。体の大きい子が一人「おせえなあ〜」とか言って食べ終えていたけど、他のみんなは持て余しており、彼が立つわけにも私がそこに体をねじ込むわけにもいかず、諦めた。
別のフロアは主に外国からの観光客が熱心にお好み焼きを食べていた。私はガラガラでもなく、満席でもないお店に座った。
や~見事に焼きますねと一連の作業を眺めて、完成品の写真を撮り、配布されるミニこてで切る。小皿に乗せて食べると、いまひとつまとまらない。
ソースのついた上面を食べてみたり、出汁粉で炒めた麺を食べてみたり、するけれど、「あーこれがお好み焼きなんですねー」というひとかたまりでは食べられず、やきもきする。
広島のお好み焼きは、焼きそばの麺を炒めて、キャベツやその他具材と層にしてまとめてある。よく考えるとあんまり食べたことがないし、あっても久しぶりだ。モダン焼きという名前で、実家の近くのお好み焼き店にあったかもしれない。それくらいの距離感。大学生くらいの頃に、下北沢のお好み焼き店に行くのが個人的に流行してちょこちょこ行っていたけれど、それもいま思えば大阪風の、すべてのパーツが渾然一体となったアレであった。
ゆえに、わたしには広島焼きのリテラシーもマナーも全くない。それに気がついて、他の地元民ぽいお客さんたちの食べ方を観察してみた。すると、お好み焼きの切り方が違うことに気が付いた。
わたしは、真ん中にコテを入れて四つ切りにして、ピザやホールケーキを分けて食べるようにして小皿に乗せていたのだが、地元らしき方々は、ひと口分を外周から切り出して食べている。外側から段々と円の中心に向かっていくような感じだ。
なるほどそうすればバラつかせずに口の中に入れられるのか!と気付いたのはもうだいぶ食べ進んでからだった。ざんねんだけど、満喫しきれなかったなぁ、と思いながら食べ終えた。普通の焼きそばのほうが好きかな…と思ったことは絶対に広島の人には秘密にしておく。