20歳くらいまで、甘いお菓子はそんなに人生で大事な存在ではなかったと思う。
小さい頃のお気に入りのおやつは小さな梅味のお煎餅だった。調べてみたらまだ売っている!
これこれ。懐かしい。岐阜の会社なのか。
おそらく幼稚園児くらいの段階で生クリームの入ったお菓子を食べたあと気持ち悪くなった経験から、ほぼすべての甘いものを拒絶する子どもに育った。クッキーも、果物も、あんこも。社会性を持って「ちょっと堪えて食べる」という技を身に着けるまでは、あらゆるデザートを遠慮し続けてきた。プールのあとでソフトクリームを食べている同級生を横目にコカ・コーラを頼んだら「クールねえ」とそのお母さんに言われた思い出があるけれど、いや〜クリーム系が苦手なんですよ私、と、そのときは言えなかった、小学生だったから。
転機は大学の頃のアメリカへの短期留学で、「これも経験」と思いながら向こうの甘味をつまみ始めたら味覚が変わった。思うに向こうの甘いものはわりと塩っぱいことが多く「なんか食べられるな?」と思いながら食べ続け、許容範囲を広げてきた。結果、めちゃくちゃ太って帰国した。
そうは言っても基本的なスタンスが「おやつを食べるならご飯を食べたい」で10代を過ごしてきたので、社会人になってもそのまま、ポッキーを買うならそのお金で唐揚げ棒かシーチキンおにぎりを買っていた。
それが30手前くらいから、だんだんお菓子が美味しくなってきた。チョコレートはお酒と一緒でも美味しいことを知り、ケーキもマカロンもコーヒーや紅茶と一緒に楽しめる。そういう素敵な趣味の世界を超えて、甘さが直接脳に効く感じを覚えたような感じがある。誰かのお土産でもらった『博多通りもん』は、以前なら持ち帰って母へ横流ししていたが、「わー嬉しい」と貰ったそばから開封して食べるようになった。
だから太る。
だから太るんだ。
いまの会社に入って、だらだらと残業してしまうことが増え、それに伴いだらだらとお菓子を食べることも増えてしまった。初めは遅くまで仕事をして白目を剥きそうになっている若い人に「何もできませんがせめてこれでも…」という気持ちでカントリーマアムなどを買い込んでは与えていた(それにより多少の地位向上を目論んでもいた)のだけれど、自分でも食べるようになってしまったのだ。なお、地位は上がらなかったが好感度は上がったと信じている。
今日、ひととおりの"エプロン"的業務を済ませたあと机に座って仕事をしていたら、くたびれてきてなにか食べたくなった。誰かの差し入れの『アポロ』と『おっとっと』を、ポリポリポリポリ食べてしまう。どちらも随分長い間食べてなかったけど、なんかとても美味い。
あ〜〜〜〜太る〜〜〜てか太ってる〜〜〜〜
と思いながら食べた。
おっとっとの美味さ、知らなかったな…