エプロンのこと


基本、内勤だけど、仕事中にエプロンをする。最初の会社で支給されたエプロンだ。

最初にいた業界では、メーカーがそれぞれにエプロンを作って、営業マンに着させていた。 営業マンは基本的にスーツで行動しているので、身分を明らかにしながら服をも汚すことなく存分に仕事がでかる、エプロンはとても便利なアイテムであった。 私の勤め先も、ほとんどの人がメーカーの営業マンと仕事をしたり、または倉庫で仕事をするようなこともあって、全員鞄の中にそれぞれのエプロンが入っていた。

年末の量販店などに行くとエプロンをしたスーツのサラリーマンがうろうろしている。それはみんなメーカーの営業、もしくは応援の社員なのだ。家電売り場で メーカーの社名の入ったベストやらブルゾンやらを着ている、ああいう人達と同じものである。

エプロンがあるととってもいいのだ。 服は汚れない。なんならちょっと手が拭ける。カッターもペンも巻尺もマッキーも、なんならガムテープも全部ポケットに入るし、何かしらのメモも入れておけて、女性の場合ポケットのない服を着ているときには携帯が入れられたりもする。身に着けるバッグという名の、美容師のシザーケースみたいなのが流行ろうとしているみたいだけれど、それはエプロンで済むのだよ君、と言いたい。まあ、お出かけ時にエプロンつけてるとサザエさんみたいで変だけど。


前の会社では エプロンを着ることはなかった。それはつまり荷物を触ったり動かしたりする機会がとても少なくて、それ専門の職種の人たちがいたからやらなくてよかった。今の会社に入ってみたら、「これはエプロンが要るな…?」という場面がたまに出てくるので、積極的にエプロン回帰している。最初の会社のロゴと自分の苗字が入っているエプロンで、ちょっと恥ずかしいけど 便利でやめられない。それに、エプロンがほしくなるような、要はすこし体を使うような場面は個人的には今の仕事の中のハイライトで、楽しんでいるから、よりエプロンで盛り上げたい心があるのだと思う。役に立つかはさておき、やる気は見せたい、扱いづらい中間管理職わたくし。楽しそうな方がいいと信じてにこにこエプロンを着るのだ。


一緒に働いている若い人たちは もちろんエプロンを支給されたことなんてないから、オフィスカジュアルそのままの姿でエプロン的業務をしている。 よくよく考えたら私にはまだエプロンのストックがあるので、 明日「使ってみませんか」と プレゼントするつもりで鞄に入れてみた。どうだろう、 使ってくれるかな。