クリスマスだ。
母からスワッグを、姉から暖まりグッズをもらってうれしい。感謝感謝。
この一週間は自分で立てたスケジュールのせいで連勤してしまい、さらに悔しい失敗も重なってぐったりとしていたが、今朝はプレゼントの配達のおかげでスッと起きることができた。
そのままの流れでセーター類のクリーニングを全部出しに出かけて、母からの荷物に入っていた文庫本を喫茶店で読む。
自分の心情にかなさる部分がたくさんあって涙が出てしまった。
三十歳から五十五歳までの間に、仕事と親の心配をしながら合間合間に旅行をする女性ふたりの物語だ。実家から離れて十年、二十年、自分のために生きてきて、お互い付かず離れずの連絡をしながら、たまの旅行で会って喋って発散して。そうこうしているうちに、片方の親が倒れる。片方は仕事を干され、片方は忙しくなる。もう片方の親が認知症になる…そんなあれこれで生き方を変えることを余儀なくされる中、変わりながらも続く二人の旅。
わざわざこの本を送ってきた母は、わたしに何かメッセージがあるのだろうかと勘繰ってしまう。
わたしはこの1年、仕事とコロナウイルスを言い訳にして実家をずっと蔑ろにしてきた。それを後ろ暗く思っているから、「早く帰ってきなさいよ」と言っているように読めてしまう。
それに、いざ母親に介護が必要になったときに自分はどうするかという、ずーっと先延ばしにしている課題も目の前に持って来られたような気分になった。まあ、これは、そのとき考えるしかないと思っているからいいんだけど。
また、友人関係も「以前からのお友達を大事にしなさいよ」と指摘されているように感じてしまう。これも同じく、今年1年ずっと会わずに過ごしてきた友人のことを思うと消極的な気持ちになるからなのだ。大概みんなインターネットで繋がっているから、なんとなく様子はわかるし、それだけで関係を維持できれば有難いことなんだけど、そうもいかないとわかっている。
この物語の中でも主人公は「相手(女友達)と住む世界が違う」状況に気付いて苦しむ。同世代だとしても生きているステージが変わるタイミングはそれぞれだから、かつては気が合うと思っていたのにズレてくるのだ。
もう全部やめてしまいたいような気持ちになったり、しがみつきたいような気持ちになったり、つながり続けることは難しいと日々のあちこちで思っているのが、お話として目に見えるようにされてしまったから胸が苦しくなった。
物語の最後は原田マハらしい優しいハッピーエンドだった。
現実の二十年後の自分はどんな生活をしているんだろうかと、呆然としてしまう。今この瞬間、ひとりでいることが正しい選択なのか、家族友人恋人との距離はこれでいいのか、わからない。