電話の通じぬ3日間のこと


auKDDIの回線が死んだ2022年7月2日。
我が社の通信手段も死にました。

携帯電話の回線以外にも通信手段がいろいろとあったので全社的にはなんとかやりくりしたものの、まあやりづらかった。
わたしは1日の業務の大半をメールと電話に費やしておりまして、数えてみたら7月1日は37回も電話していた。それがなくなるので一大事。
朝は「わ、ほんとにかからない」「かけてみてー」「かからないねー」などとほのぼのしていたのだが、いざ仕事が盛り上がってくると「これあの人に…あー電話できないんだった」とガッカリしたり、TeamsやらLINEやらの通話機能を使ってみては「もしもーし!もしもーし!きこえない…」とイライラしたりで実際の"妨げ感"を大いに味わった。
「電話のなかった時代は一体どうしていたんだろう…」「飛脚が欲しい」などとふんわりしたことを口々に言い合ったかと思えば、「ヤマト運輸au使ってるらしいよ!」と誰かがニュースを持ってきて「かわいそう!ヤマトさんが1番の被害者だ!」「きっと電話だけじゃなく配送状況通知のアレコレとかも絡んでるんだろうね〜」と嘆き合ったり。
ヒマなのか。いや実際すこしヒマだったかもしれない、電話がかかってこないから。

 

電話が使えない、ということの影響なのかなんなのか、わたしはその日、社用の携帯電話を会社に忘れて家に帰ってきてしまった。WiFiのおかげで「iPhoneを探す」の機能はバッチリ使えた。
ああ、明日休みなのに。
携帯取りに行かないとな。
でも、明日も電話が使えないかもしれないな。
いつ復旧するのかな。
思いながら寝た。

起きたら9時を過ぎており、ああもう少しだけ寝て午後から行こう、と思って寝て起きたら14時45分だった。諦めて布団の上から15時の会議に出た。WiFiのおかげでリモート会議もできた。

 

更に翌日。朝のニュースでは「復旧したよ」と言っていたけれど、通じぬ電話。だんだん電話のかけられない/かかってこない日常に慣れて、静かでいいわねぇなどと思い始める。取引先にも「しばらく電話できませんので」などと書き添えてメールする。さらに会議会議で疲れ果て、電話のことも忘れかけた夕方、突然の着信音が…!
「わ!電話鳴った!!」
大喜びである。
周りの人も振り返る。
電話してきた取引先にも「わ〜!○○さんが復旧第一号ですよ〜!」と大歓迎で出る。
嬉しくて、いや話したいことが溜まっていて、そのまま別な人に替わるほどだった。話せるって便利だね〜、良かったね〜と、またひと盛り上がり。

 

社会人になりたての頃なんか、電話を取りたくなくて出勤したくないと思ったものだったけど、十数年経ってこの変わりようである*1。個人毎に携帯電話を持たされるようになり、かつてのように「3コール以内に出て相手を把握して誰かに転送する」「誰かの代わりに用件を聞く」という恐怖のイベントがなくなって、よっぽど気楽になったのは大きいが、こんなにか。
Slackやらなにやら*2の世界にいる人たちからしたら、「電話だなんてなんと下世話な」「他人の時間を奪う悪の所業」「集中力を切断する妖怪の手」と思われているのだろうけど、「いま聞かないと」「いま言っとかないと」「いま答えを知りたい」で走り回っている下等な我々にとっては、電話はやっぱり大事な命綱なのだとしみじみ痛感した。

今日もまだ「わ、鳴った!」と思いながら13回電話した。
ちょっと減った。

 

 


auの人たち復旧ありがとう、お疲れさまでした!)

 

 

 

*1:ただし今も全然出勤したくはない、電話がどうなろうとそこは変わらない。

*2:やったことないのです…すらっく…憧れる…