9月10月の本のこと(2)


読んだ本を要約してみようという試みです。*1

酒の穴

酒の穴―酒をみつめる対話集

酒の穴―酒をみつめる対話集

 

デイリーポータルZでもよく記事を書いているライターのお二人が「こうやって飲むと楽しいよね」「これが酒飲みの良さだよね」などを対談している本。河原で波紋を眺めながらストロングゼロを飲めばそれが最高の酒場だよね…といった、チェアリングを生み出したお二人のしみじみしたトーク。一人で飲みながらかる〜く読むのがちょうどよかった。酒場には文庫本をポケットに入れていくのが一番だね。逆に飲まずに読むと嫉妬心が出るので、入院時なんかに差し入れるには不適切な本かもしれない。

 

こんにちは未来

こちらも対談本。著者のお二人が発信しているポッドキャストが書籍になったもので、いまの社会、いまのアメリカ、いまのテクノロジーとメディアについて様々に語られていて、とても読みやすく面白かった。現在の男女がいる社会を、混浴風呂の喩えで話しているところはとてもわかりやすかった。

・男女平等は現在、男女混浴風呂のような状態=おっさんたちが先にお風呂にいるから女性が入って行けず、男湯化している
・女性が入れるようにするには、安全を確保する必要がある
・安全は男性のマインドセットを変えないと作れない…でも、なかなか変わらないから、うまいデザインが必要
・一方、アファーマティブ・アクション(大学入試でマイノリティを一定数必ず合格させるとか)にも課題がある
・それは能力で評価されているのか、属性で選ばれているのかわからなくなり、落選の人からは不平等に見られるから
・じゃあどうしたらいいか?
・結局は(会社などの組織だとしたら)男女の数を揃え、対価を揃えていくことを制度化することからしか始められないかも
・制度化したあと、仕事面や気持ちの面で成功することを丁寧に証明していくしかないね…
・まだまだ勉強と実践が必要だね…

といった内容。ほんとに勉強と思い切った実践が必要だね、世界…。

 


持続可能な魂の利用

持続可能な魂の利用

持続可能な魂の利用

 

フェミニズムの視点でTwitter上で話題になっていたので読んでみた小説。
お話は現在と未来の2本筋がパラレルに進み、未来の世界には制服姿を卑猥な目で愛でるような大人男性…つまりおじさんが女子学生の周りからいなくなっている。それはおじさんがマナーを守るようになっているわけではなく、物理的に全てのおじさんがその場に存在していない世界なのだ。それは現在のストーリーの中での、さまざまな出来事によってもたらされていて…といったあらすじ。
なんか全然面白そうじゃないな!?
うん、正直あんまり面白さがわからないまま読了してしまったので、こんなあらすじしか書けないのだと思う。おじさん消滅という奇想天外な設定に対して、どんな経緯が語られるのだろう…と半ばミステリーに取り組むような気持ちで挑んだのだが、そのへんの詳細はあまりなかった…。これが文芸なんですねたぶん。読み慣れたい。

 


夢で逢えたら

夢で逢えたら (文春文庫)

夢で逢えたら (文春文庫)

 

こちらもフェミニズムというか、シスターフッド小説。とはいえ『持続可能な〜』の10倍は軽いつくりのエンタメ小説だった。
名古屋の作家さんの作品で、二人の主人公はどちらも愛知県出身。テレビが大好きでお笑い芸人になった女と、真面目にコンサバに生きてきてアナウンサーになった女が出会って、男社会のテレビ業界でサヴァイブ&リベンジするストーリー。男社会のテレビ業界でサヴァイブ&リベンジするストーリー。
大丈夫なのかと思うくらい詳細に、この10年ほどバラエティ番組であった出来事が書いてあるのでそれだけで面白かった。男性が作ってきたルールの中でどうやって生きるべきかモヤモヤする2人の姿、がんばって生きてきたのに自分の主体性なさに苦しむ姿に共感もしたし、最後も明らかな悪(セクハラおじさん)に鉄槌がくだされて気持ちよかった。エンターテインされました。

 

 

 

*1:結局、要約じゃなくてダラッとした感想になってしまったね…