誰の体のこと

入院日記の続きです。

 


いろいろあって、手術するか、しないか、という話になったとき、先生がしきりに「ご家族にご説明を…」と言うので、「なんで私に説明する前にご家族の話になるの?」と思った。
言わなかったけど。
まぁ、わかる。手術中にもしものことがあって、例えば死んだら「何したんですか!?」って家族はなるだろう。例えば重たい後遺症みたいなものが残ったら、私のことを世話するのはきっと家族だろう。そういった理由で、家族に説明しなきゃいけないということだろう。
でもさあ、私の身体のことだし。
私が89歳で認知症だったら、私より家族に説明するわね。でも36歳で一応普通に働いてるくらいの人なんですよ。もちろん、客観的な(患者でもない、医師でもない人の)意見もあったほうがより冷静に判断できるってもんだろう。けどさ、けどさ〜。
どうもイラッと来てしまったので「最終的に決めるのは私なので」とは言ってしまった。
違うのかな。
私がほんとに家族みんなと縁切ってて、誰も出て来なかったらどうするんだろう、そしたらやっと私に説明するのかな。


「ものすごくたくさん食べたい」という気持ちはあるのだが、そもそも年齢的に難しくなっていることもあり、日々粗食のほうが理に適っていることはわかっていた。
でも、病院で出てくるような、少し柔らかめのご飯とか、よく煮たお野菜とか、お魚焼いたのとかを淡々と自分のために用意することは結局私にはできないと思うのだ。イライラしたら唐揚げが食べたいし、やる気のためにカツ丼も食べたい。
カツ丼を食べてお腹が痛くなって悶絶するのは嫌だな…と思って、手術を希望した。

そうしたら、なんということでしょう。手術希望を伝えた次の日からお腹がまったく痛くなくなってしまったのです。
まるで家電の調子が悪くて「新しいの買わなきゃね…」と言ったら動き出す、アレのように。
これで手術は一旦お預けになり、食事をしながらお腹が痛くならないように様子を見る日々が続く。

心底優しい母と姉が、"手術を前提としたご家族への説明"を聞きにわざわざ名古屋まで来てくれて、お土産としてタブレットに大量のマンガと、Netflixのマイリストに入ってる映像をダウンロードして持ってきてくれたため、それを観るなどさせてもらって過ごす日々。
社会復帰できなくなるんじゃないかと思う。

そしてついに「とりあえず明日退院」になりました。
1週間のつもりが2.5週間も入院してしまい、あまりの長さに焦っていたのでホッとした。とりあえず仕事は会社のみんながちゃんとやってくれてるし、保険にも入ってたから多少は入院費用もカバーできるし、過去の自分を含めた各地に感謝しながらなんとかやっていかないと。もしかしたらいつか手術するかもしれないけど、とりあえず退院して生きてみる。
そしてこんなにも時間があったのに、結局仕事も生活も何も改善方針が立たないまま過ごしてしまい、「さすが自分…」と呆れているところ。ああ、どうしよう。

 


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ハロウィンのお昼の食事にカードがついていて、ちょっと泣きそうに嬉しかった。