健康診断のこと


会社員でよかったイベントランキング・ナンバーワンと言ってもよい、年1回の健康診断をしてもらってきた。

前夜9時までにご飯を食べよ、そしてそれ以降何も食うべからずと言われると、焦って早くから晩ごはんを食べてしまい、かつ9時手前にお腹が空いた気がして更に食べてしまうなどした。
朝も普段なら何も食べずに出かけることが多いのに、「食べちゃダメ」と言われるとすごくお腹が空いた気がして面白い。実際には朝なにか食べたほうが、空腹を感じる時間帯が早い気がする。でもそれ以上に「なんかたべたいなあ」と思う。

なんかたべたいなあ、と思い続けて列に並んで、やっと口に入れるのがバリウムである。
初めてバリウムを飲んだ。
まずい、まずい、と聞いていたけれど、まずいもうまいもないものだな。口に入れるものが全部美味しい前提でいるのは贅沢だ。それよりも飲んでいる様子を係の人に見つめられるほうが恥ずかしくて気になる。初めてですと申告したせいか、最初から最後までしっかり見られた。容器がくびれていて、高級な飲むヨーグルトのようだった。

小学校に入ったくらいからずっとお世話になっている、あのX線のバスの中に、あの平たい胸をつける台以外のものがあるとは思ってもみなかった。
ていうか、バリウムを飲む検査というものがイコールX線検査だとは思っていなかった。
胃の、X線を、撮るのだな…。
そのために…バリウムを飲むのはわかるけど…あんな宇宙飛行士のトレーニングみたいな台座に乗って回転したり回転させられたりするなんて…!

おかしくない?
わけわかんなくない?
志村けんのだいじょうぶだぁで最後に磔にされた人が回転されるやつみたいじゃない?

あんなすごいことに取り組まなくちゃいけないのに、行きも帰りも平気な顔してる人たちは一体何なんだ。「や〜、今年も回ったわ〜」「回ったな〜」とか言わずにいられるのが不思議。もしくは、こんなにおかしなことにも慣れてしまうものなのか、大人たるものは。加齢によって全てに新鮮味を感じなくなるその1つのことにこれが含まれるのか。婦人科のあの台座もそうだけど、医療行為には筆舌に尽くしがたいものがたくさんあるな。
成人してから15年、もうすっかり大人になって久しいと思っていたけれど、胃のX線検査をやらないでいるうちは真の大人にはなっていないと言ってもよいのではなかろうか。常々、自分の若輩ぶりは感じているけれど、やー、まだまだだった。