ヒールのこと

 

ピンヒールははかない

ピンヒールははかない

 

この本はこの一年以内に読んで良かったなあと思う本の1つ。
その内容はさておき、私もすっかりヒールのある靴を履かなくなってしまった。

小学生の頃"アムラー"だったので、厚底ブーツを履いていた。そのあとも歩く練習の要らない厚底にお世話になり続け、大学に入ってヒールをたまに履くようになった。足に合っていて、よく練習すれば履けるなと思って、新卒で入った会社の展示会は6cmくらいのヒールで立った記憶がある。
その後二度転職して、「やっぱりちゃんとしたいときはヒールありだな」と思って低め太めのヒールのある靴を買っては履いていた。
が、昨年の春頃、足の指を骨折するという中途半端な怪我をしてしまい、つま先に力をかけるのが怖くなって、低いヒールからも遠のいてしまった。
いまは毎日ぺたんこの靴でペタペタ歩いている。こういうスタイルが許される世間にいるし、フラットシューズは流行でもあるようなので、助かる。


私の父は娘の低身長が気になって仕方なかったのか、20歳過ぎて以降のお誕生日だなんだには、デパートに行って10cmくらいあるヒールの靴を買ってくれた。(わたしの身長は154cmである。)
それが、試着するときには、良い靴だから、履きやすく感じるのだが、いざ歩き回ろうとすると無理がある。
10cmもあるヒールで1日快適に過ごすには、移動をすべてタクシーでこなすか、足腰の筋肉を鍛えて耐えられるようになるかの2択。1つめの選択肢を常に選べるほどリッチでもないし、2つめの選択肢も普段机の前にただ座っているだけの私には荷が重い。
要は、全然、履かないのだ。
20代後半には「誰かの結婚式」が毎月怒涛のようにあり、そのときに買ってもらった素敵すぎるハイヒールを履いていたものの、いまや誰も身の回りで結婚しない。勤め先の若者が結婚したら、上司として呼ばれるかもしれないが、いまどきの若者は上司をパーティーには呼ばないだろう。それに、そんな機会があれば着物で行けばいい。

そう思って、ついに10足以上あったハイヒールたちを今日、捨てた。正確に言うと近所のリサイクルショップに持って行って買ってもらった。
2000円だった。

おー、2000円ですか。おそらく、買ったときの100分の1か、1000分の1か、その間の結果。
ちょっと、買ってくれた人のことを思って、ドキドキしたけど、そのまま売った。押入れに仕舞いっぱなしにしながら、いつ履くんだろう、いつか履かなきゃなと思っていたプレッシャーから、解放されたような気がする。


美味しいビールでも飲みに行こうかな。