昼から/一人で飲むこと


先々週の金曜日の夜から『きのう何食べた?』のドラマが始まったので金曜日は家のテレビの前で正座待機である。

よつばと!』と並んで、数少ない単行本が出るのを待っている漫画なので愛着がある。登場人物みんなのことが好きだし、もう10年以上読んでいるから親戚のような気持ちになる。佳代子さんのお孫さんが小学生になったことに素直に驚ける非実在隣人は、わたしだけではなかろうよ。

 

初回放送日の前日はごはんを作る気がないところにお誘いをいただいて、飲みに行った。
誘ってくださった方はもともと東京に住んでいて、いまは名古屋にいる。コミュ力がはんぱなく、誰とでも仲良くお話できるような感じのお酒好き。どこにいても、こういうタイプの方に支えられているなと思う。わたしは中途半端に内弁慶で、柱の影からみんなを見ているようなところがあり、促されないと動き出せないわがままさがある。話し上手な方と一緒にいると、ありがたいことに楽しく過ごせることが多い。恐縮しながら仲良くさせてもらっている。

彼女とは『きのう何食べた?』ドラマ配役の妙について木曜日に大いに喜びあい、土曜日に振返りの会を行うことにした。金曜日の夜はそれぞれ自宅で正座してドラマをリアルタイム鑑賞。初回は想像以上にコミックス1巻そのままで、次のセリフがわかるほどだった。こんな場面あったねと、懐かしさすら感じた。

土曜日は昼から名古屋駅西口の立呑屋に行った。人気店でひょいとは入れないので、15時の開店時刻に合わせたのである。お天気もよく昼から飲むには最適。明太子をまるまる一本天ぷらにしたやつが衝撃的に美味かった。こわい、おそろしい食べ物だった。
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2軒目にもう一段階シブい居酒屋で飲んで、そろそろ帰りましょうかとなった。そこに珍しく、職場の同僚からLINEがきた。近所に住んでいる方で、こちらもお酒好き。"おかあさんのとこ"にいるので飲みませんかーというお声掛けで、ついつい行ってしまう。もう相当飲んで、しゃっくりしているほどなのに。

 

"おかあさんのとこ"はあまりにローカルなので名前を出したくないのだが、中国出身のご夫婦が営む中華料理店で、ものすごく量が多くて安くて美味しい、家から徒歩7分のすばらしい店だ。しつこいほどに温かい女将さんのキャラクターも愛されていている。それ故の"おかあさんのとこ"だ。
去年の夏ごろ、深夜に冷やし中華が食べたくなってこのお店に駆け込んだ。メニューを見ると魅力的な「カレー春巻」の文字があり、そのときは冷やし中華欲だけを満たし、また来ようと誓った。
次に来たとき、普通の春巻とカレー春巻とキムチ春巻が2本ずつという素敵なアレンジメニューを食べながら(デフォルトが一種類6本なので調整してくれた)、ノンアルビールを手酌でやっていると、扉が開いて「こんばんは〜…あれっ!!!」と同僚二人組が入ってきた。がーん…!となって固まってしまう。
相手は面白いネタを見つけたぞという顔で「よく来るんですか?」と訊いてくる。社員の居住率がとても高いエリアなので、こういうことはあるだろうと思ってはいたのだが、構えが足りなかった。それに、この店は社員があつまる"いつもの店"であることも、その瞬間まで知らなかった。そそくさと春巻を食べ終えて、その日は走って家に帰った。
翌日には同じ部署のほとんど全員が「あの人は中華屋のカウンターで瓶ビール手酌(笑)」と知っていた。狭い世界なのだ。そのときはノンアルだったんですという言い訳も、したところで意味はない。一人でカウンターで飲むことはわたしの生活スタイルなので、どうこうする必要もない。だけれどもそこに嘲笑が含まれているとなんだか疲れる。生態がずるりとバレて楽になったとも言えるけれど、笑っている相手にわたしが業務上意見したところで、耳を貸してもらえなくなるのではと思うとおそろしい。

 

そんなわけで"おかあさんのとこ"にはそれ以来行っていなかった。その土曜の夕方、久しぶりに行って改めて二人で飲み食べた。相変わらず量が多くて安くて美味しいので、逸したなぁとこの数ヶ月を悔いた。でも、また同じ目に遭いたくないから一人では来たくない。
そのあと別な同僚から「仕事終わったよ」の連絡も来て、別なところで4人で飲み食べ。結局解散したのが24時頃で、10時間以上飲んでいたことになる。やりすぎだ。
当たり前だが翌日は二日酔いになる。昼から飲んで二日酔いにならないためには、夜飲まないことだとわかっているのだが、できた試しがない。どうしたらいいんだろう。
ついでに「あの人は昼から飲んで酔っ払っている(笑)」の情報も翌日にはしっかり部内に広まっていた。どうしたらいいんだろう。どうでもいいけれど。

f:id:l11alcilco:20190417213749j:image(数日後、8人くらいで連れ立って"おかあさんのとこ"に行ってチャーハンを頼んだら、優勝力士のようなボリュームの大盛りが来た。美味しかった。)