8年後のこと


8年くらい前に知り合って、それからごくたまに会う友人が、名古屋に出張で来ていたので会った。確認したら会うのは4年ぶりだったし、よく考えたら二人きりで飲むなんて初めてだった。

 

美味しいものを食べながら、お互いのこの数年のあれこれを話した。いまの仕事とか、仕事以外の活動のこととか、結婚相手との馴れ初めとか。
彼は会社に勤めながら写真をやっていて、写真集を出したり個展をやったりと真剣に取り組んでいる。前回会ったのは彼の個展を観に行ったときだった。その後もコツコツと作品作りしていることは、SNSを通じて知っていた。
話していると「今よりしっかり取り組んで、写真でやっていけるようにしようと思っている」ということだった。いいねいいね。超応援。
「そっちだって、なんかいろいろやってたじゃん。自分で仕事しようとか思わないの?」
と訊かれて、あー、となる。

思ってた。

思ってたけど、この8年の間にいろいろなことがあって、私はいまやお金がなにより大事になった(と言いながらそれをお酒に溶かしておりますが)。そしたら勤め人を自らやめる選択肢はとても遠いものになってしまった。勤め先がなくなってしまわない限り、いまはしがみつきたいのだった。
それに加えて、いまの勤め先に来て、中間管理職になってから、予想していた以上に「勤め先を良くしなくては」「勤め先の人々を幸せにしなくては」という気持ちが出てきて、他のあれこれに思いを馳せる回数が減ったのだった。
そうしていくうちに時は流れて、体力は落ち、新鮮な刺激を拒否して、なにも新しく始められない、固まったマインドになっていく。こうやっていわゆる"つまらない大人"になり、精神的な若さも擦り減って行くのだろうなと思った。

これが私の8年後か。知らなかったような、わかっていたような。

すこし寂しいけど、かつて思っていたような"勤め先の私は本当の私ではない"というような気持ちは、いまは減ったように思う。エネルギーの向け先が仕事中心になったからだろうか。その向け先が変わったのは、場所が変わったからだろうか。わからないけど、悪いことではないはずだ。
いま頑張ろうと思う。


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東京のすてきなお土産もらった。
東京のすてきなお店行きたいな。