シュクメルリ鍋定食のこと

 

"みんなの食卓"こと牛丼チェーンの松屋の期間限定メニューのことだ。
店舗限定で出たときに食べに行けなかったので、このときを待っていた。松屋が出してくるイレギュラーメニューを食べることを趣味と数えることにしたので、趣味の時間だ。
噂(という名のツイッター)によると、松屋の味の要であるニンニクをこれでもかと押し出した新作だという。ジョージア料理。
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ポスター(↑こちらはwebサイトのスクショ)に載った「松屋 世界紀行」というサブタイトルも楽しい。このあともなにやらいろいろ出しますよというメッセージだと捉えたい。シリーズ、楽しみにしてます。

 


引越して、ロードサイドのいかつい松屋からは少し距離ができてしまい、街の中の松屋に来た。
金曜の夜、怒涛のツーオペ、怒涛の「少々お待ちください」の嵐、壊れる券売機、並ぶ客、リセットしてから時間がかかる旨をお伝えする店員さん、この客数のうち何人が新メニュー目当てなんだろう、と想像する間にゆっくり再起動する券売機。確かにいつもより更にニンニク臭のする店内。なんか盛り上がってきたな。


と思ったらきました、シュクメルリ鍋定食。
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ぐつぐつしている。
サツマイモと鶏肉のクリームシチューにチーズをふりかけた素敵な見た目。
ニンニクだよ!ニンニクだよ!と聞いて来たからなのか、食べてみるとそこまででもない。このくらいのニンニクなら今までもあったよね?という気がする。
が、少し冷めてくると匂いが、味が、どんどんしっかりしてくる。
おー、これはこれは。チーズとニンニクがこってりとうまいよ。冬の味。ごはんも味噌汁も生野菜も、シチューの中の具でさえも、みんなソースの箸休めとしての役割だ。
これは単品の大盛りを持ち帰りにして、家でワインなど飲みながら食べたらとても良いのではないか?追加でチーズをかけて、パセリを散らしたい。付け合わせにザワークラウトなんかあったら無限ループできそうだ。クリスマスパーティーにぴったり!1年先だけど。


そうこうしているうちに、日本も初めて松屋も初めて、と思しきアジア系の男性客が入ってきた。中国語メニューで注文しているから中華圏の人なのかな。
この食券はどこで渡すのか。先に席に座っていいのか。持ち帰りコーナーに並んでいる人がいるから並んでみる。店員さんが食券を受け取って戸惑う。「こちらでお召し上がりですか?」「???」店員さんも日本人ではないのだが、お互いの言葉が通じない。半分英語、半分ジェスチャーでようやく座る。
座ってしばしキョロキョロ、紅生姜のフタを開けてみるなどして待つ。食べ物が来たら「ふむ」と止まってお箸を探す。あった、と思ったけど探していたのはお箸ではなくレンゲ。彼の机にはセットされていなくて、ジェスチャーで依頼。ひとしきり味噌汁をレンゲで飲む。そして牛丼、レンゲで。

美味しかったのかなぁ、美味しくなかったのかなぁ、わからないけど、彼の一挙手一投足があまりに旅人らしさに溢れていて、失礼ながらじっくり眺めてしまった。
疑問と不安→トライ→解決。
ちょっとずつその場所の流儀を発見して、やってみて、堪能するのが旅行の面白さのひとつだと思う。満喫してるなあ、いいなあとばかり思って、彼を助けてあげるという選択肢を忘れた。
牛丼屋は日本中どこにでもきっとあるけど、よそから見たら面白ローカルカルチャーだもんね。深夜に煌々と灯りがついていて、食券を買ったら、お茶が出て、火のついた鍋をひとり一つずつ配膳されて、誰とも話さずに食べて出る。
しかも、ジョージア料理がイチオシ。
ニューヨークのデリでベーグルサンドとコーヒー買うのと同じくらい、ドキドキする体験なんじゃないかな。大袈裟かもしれないけど。

 

松屋はいつでも楽しいな。なお、シュクメルリ鍋定食には、ミニライスがちょうど良いと思います。