タンドゥールのこと

誰に教えてもらったか忘れたが、カレー店「エリックサウス」が好きで、疲れて元気が出ないときや風邪を引きそうなときや単純にカレーを食べたいときに東京駅または永田町駅直結のお店(とはいえ永田町からはまあまあ歩く)に行っていた。どちらも通勤経路にあったので救われていた。

永らく夜の糖質を断っていた関係もあって、三種の野菜カレーとチキンティッカだけ、みたいな注文もよくしていたし、ほんとうに元気のないときはミールスを混ぜまぜして食べるとお米のパワーもあってエネルギーが充填されたような気持ちになった。ここにくればいつでもビリヤニが食べられるというのも、そんなに注文しないくせになぜか嬉しかった。

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ありがたいカレーありがたい

(ちなみにその前はよもだそばのカレーで力を出していたのだがそれはまた別件である。)


エリックサウス好き好き、と思っていたある日、お店の経営者のTwitterアカウントがあることに気が付く。読んでいると、あの「サイゼリヤをコースで楽しむ」人だった。

 

 

最近は松屋の記事でバズっていたイナダシュンスケさん。もともと東海地域に縁のある人でもあるとわかった。そしてエリックサウスは名古屋駅にも出店していたのだ。福音だ!と思った。


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(名古屋のエリックサウスにはバーフバリを観に行く前の景気づけで訪問した。)(ちなみによもだそばも名古屋駅に出店しているので、いずれも私の心の健康に一役買っている。)

 


やっと本題に入ります。


ミヤコ地下街の「タンドゥール」というカレー店を、さきほどの氏のツイートで知った。


即メモした。


名古屋の中心は地下街が必要以上ではないかと思うほどに発達していて、ミヤコ地下街はそのうちの1つである。名古屋駅直結なのだが、どういう経緯なのか、割合シャッターが閉まっているお店が多いエリア。ちょっと駅から離れすぎているからなのかもしれない。

その中で、ひとり気を吐く「タンドゥール」。店に入らずともずっと昔からやっていることはわかる、しかしいわゆる本格的なインドカレーなのかどうなのかはよく分からない。 メニューがカレーとライスしかない。そしてラッシーとチャイアンドビスケット、あと、アイスクリーム。つまり、ご飯はカレーしかない。あ、あと、野菜サラダがあった。
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何度か前を通ったがカレーの気分ではなかったり、すでにお腹がいっぱいだったりで 入ったことがなかった。今日のお昼、ちょっと寒かったので「今こそ地下街でカレー!」と思い立って入ってみた。
コの字型のカウンターの中にいるお店の方。おばさまとおばあさま、という感じのお二人で、実質はおばさまがお一人で回しているようだ。「カレーは甘口辛口中辛です」と言われ、中辛で と答えると一瞬でカレーが出てくる。 もうカレーは出来上がっているのだ(!)。 ソースポットに溢れんばかりの量のルーが供されてその後、銀の大きなお皿にご飯をいっぱい載せてくれる。
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後から来たお客さんが、ご飯半分で、という風に注文していたが、私もそうすればよかった。個人的にはちょっとご飯が多かった。でも めちゃめちゃ白飯が食べたいという気分の時には逆に良いかもしれないし、男性には自動的に多く盛っているような様子だった。

 


おばさまの言葉遣いが可愛い。

「はい中辛ね☆」「ありがとう☆」「わたしスプーンお出ししたかしら☆」「ご飯足りなかったら言うてくださいね☆」 全て語尾に星がついているように聞こえる。淡々としているのにキュンとさせてくる。ずっとやっているから自動的にそんな声になるんだと思う。

 


カレーはみじん切りの玉ねぎがぎゅうぎゅうになった、ちょっと思い出してみると新川「デリー」のコルマカレーの仲間のような、それとも昔地元にあった「いんでいら」のカレーのようなイメージ。でも玉ねぎは全部トロトロではなくて、すこしシャクシャクとした感もある。そこに鶏肉がポロポロ入っている。鶏肉は、だしのような感じで、メインはあくまでも玉ねぎとそれに絡んでいるスパイスである。チキンカレーの鶏がトロトロした感じとかブリっとした感じとかはない。

だけど、美味しい。温まる。すごい提供スピード。追加で丁寧ながら淡々としたホスピタリティによるムードの良さ。なるほどこれはひとつの文化のようなものだなぁと思う。


調子に乗ってチャイとビスケットも頼んでみた。チャイはおばさまがゴリゴリとすり鉢でスパイスを潰してくださって、きっちり煮出して できたてを飲ませてくださる。カレーのスピード感を見ていたので、まさかイチからきっちり作るものとは思わず、お忙しい時間に頼んでしまって失敗したなという気持ちになったが、ロータスのキャラメルビスケットをしょびしょびにさせながらとっても良い香りのチャイを、しかもすごい量飲ませてもらって、 大満足だった。
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さて果たしてこれはインドカレーなんだろうか。その辺の知識が弱いのでよくわからないけれど、イナダ氏曰く、こういったタイプのカレーがかつての名古屋にはいくつか存在しており今はなくなってしまったというのだから、またおもしろい。

私がちんたらチャイを飲んでいる間にも、何かの合間に立ち寄る女性一人やら男性一人やらカップルやらがたくさん入ってきては食べ出ていって、きっと暫くはなくならないだろうなあ、そしてなくならないでほしいし、なるべく頑張っていただきたいと、少し祈るような気持ちになってしまった。
日常性のあるカレーっていいなと思う。きっとまた行ってしまう。風邪を引きそうな時には辛口を普通盛りのご飯で食べてしまうと思う。