スポンジのこと

以前断捨離の本を読んでみたら、著者の方はまあ色々捨てているし色々を生活から排除しているわけですけど、一番ショックだったのは「布巾とスポンジをやめろ」ということでした。

じゃあその代わりに何を使うのかというと、キッチンペーパーと メラミンスポンジ(いわゆる激落ちくん)を使い捨てることで物を溜めない生活をする、というわけなのです。


これは名案だなと思いました。


でも、布巾をやめることはできませんでした。
なぜなら布巾のような中途半端な布が大好きだからです … 女子のコミュニケーションの中で手ぬぐいやふきんのような布を何かしらのお土産にするというのはよくあることですし、それを捨てるのもつらい、 お気に入りのものはなるべく使っていたいし近くで見ていたいものなのです。
こういう考えがある時点で 自分は 断捨離とは 全く合わない性質 の人間だと理解してはいるのですが、 もう一つの方、スポンジについては目から鱗が落ちる思いで 早速実践しはじめました。スポンジにはなんとなくずっと悩まされてきたように思っていたからです。

 

そもそも私はクレンリネスの概念が乏しく、何が清潔で何が不衛生なのか、実際に綺麗だったり汚かったり見えるようになっていないとわからなくて、生活力や人間力の弱さを感じます。テレビの CM なんかでよくある「こんなところにこんなにいっぱいバイキンがいるんです!ギャー!」みたいなやつは大嫌いです。なぜなら今まで考えなくてよかった汚れについてまで考えさせるからです。ゆくゆく見えるようになってくる汚れ (例えばカビとか)は、それが見えてこないようにするという努力をするので理解できるのですが、それ以上の世界になってくるともう、お化けと闘っているような気持ちになって、お手上げです。
以前、穂村弘が 本に書いていた 「牛乳が賞味期限が切れた瞬間に真っ黒になればいいのに」という考えには(さすがに賞味期限は見るけど)大賛成で、こうなると食べられない、こうなると危ない… そういうことを見えるように教えてくれたらいいのになと常々思っています。


スポンジの話に戻りますと、断捨離方式ではコンビニや100円均一で売っている大きめの激落ちくんを買ってきて、ちょうどいい大きさに切ります。 それをしばらく使って、くたびれてきたら捨てます。 1〜2週間に一度捨てるようなイメージです。これがとても快適です。
今まで普通のスポンジ食器洗い用のスポンジを使ってきましたが、だんだん汚くなっていくようにも感じつつ、なんだかまだ平気なような気がして、中途半端にずっと使っていました。いつがこのスポンジの消費期限なのかがわからないので、いつ捨てたらいいかわからないというのがとてもストレスだったように感じます。そもそもスポンジが汚かったら洗っているお皿は実際にキレイになっているのか?泡をつけてゆすいでいるけど、本当にこれでよいのか?そもそもこの泡はなんなの?疑念が渦巻きながらの皿洗いでした。
今は いつ捨ててもいい、色が変になったらもう捨てる、という考えにシフトして、とても楽です。ただし、環境的によいのかとか、エコロジカルでないとか、そういう思いが胸に去来することもありますが、その辺はほかの事で何かしらのカバーをしていけたらいいなと思っています。


何かをやめるというのはある種昨今の流行のようですが、実際にやめてみると気持ちのいいこともありますね…という中途半端なまとめで失礼いたします。ではみなさんよい土曜日を。

香港に行ってきました 3

前職ではたくさん出張に出させてもらい、その中でも一番多く立ち寄ったのは香港だった。

目的地は中国本土なのだけど、香港経由で行くことが多かったのだ。上司や同僚、現地のお取引先と一緒にいることもあったけど、香港には一人でいることのほうが多く、よく宿泊していたエリアの近くは夜ウロウロしていた。道も迷わないし電車で緊張もしなくなり、最低限の荷物で行動していたので、よく観光客に道を訊かれたりもした。言葉が全然できないので、なんのお役にも立たないのだけど。


そんな前職での最後の出張のとき、すでに今回(2018年2月末)の旅行のことが決まっていて、すごーく嬉しくて、友だちと香港にいるなんて最高!なに食べよう!どこ行こう!って心ときめかせていたら、iPhoneをタクシーに置き忘れた。降りて3分で気付いたけど時既に遅し。レシートも受け取っておらず。ましてやタクシーのナンバーをや。いろいろ届け出たり電話したりFind my iPhoneしても位置情報無効にしてるから見つからず。
浮かれてた、気もそぞろだった、そういうのは良くない。海外では油断大敵という鉄則を忘れていた。まあ常に油断して生きてるようなもんだけど。


そんなときに必ずみんなと行きたいなあと思っていたのが、雲呑麺と、煲仔飯である。


雲呑麺は香港ではどこでも食べられるし、ここが美味い!というオススメが人それぞれにありそうなのだけど、私はここが美味しいと思っている。

龍記雲呑粉麺

Lee Wai Commercial Building, 1-3 Hart Ave, Tsim Sha Tsui
龍記招牌雲吞 (香港) の口コミ50件 - トリップアドバイザー

ここは、ほとんどの人が雲呑麺しか頼まない、ナイルレストラン的なお店。入ると、「エビワンタン麺?」と訊かれる。うんうんと頷くと、すぐ出てくる。小さくてかわいい丼に、澄んだスープ、ちょっとカリカリした歯ざわりのある細い麺、下にごろごろとブリブリしたエビ雲呑。テーブルの美味しい辣油をちょびちょび付けながら食べる。ラーメンのようなボリュームと重さがないので、すごく美味しい軽食といった感じ。
で、ここまで語っておいてなんで写真がないのかね?それはなんと、こちらのお店、この2月末の旅行では、旧正月のお休みで開いていなかったのだ…。売り手が強い店は休みが長い好例…。
泣くかと思った。
めちゃめちゃお腹が空いていたので、悔しかったけどすぐ隣の源記餐廳(よく見かけるから多分チェーン店)に入って雲呑麺と焼き物の載ったご飯などを食べた。f:id:l11alcilco:20180224134450j:plainf:id:l11alcilco:20180224134455j:plain

これはこれでまあ良いんだけどね…。

 


そして、煲仔飯。具の載った土鍋ご飯で、もともとは冬の食べものらしいのだが、観光化エリアでは年中食べられる。

一度、ひとりで食べたことがあったのだけど、めっちゃいろんな具が選べるのにひとりだと1つしか食べられない…隣のテーブルの4人組がワイワイしてるのが羨ましい。あと、4人組が頼んでる牡蠣のお好み焼きみたいなのを食べたいけどひとりには多い。絶対大勢で旅行に来てリベンジするんや…と心に誓った…ので来た。なんて自分勝手なんだ。


どのお店が美味しいのかわからないので、行列の有名店に。
四季煲仔飯
50-52 Arthur St, Yau Ma Tei, Hong Kong
Four Seasons Clay Pot Rice - Google 検索

 

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これは腸詰と鶏肉が載ったもの。

 

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これは鰻が載っている。

この食べ物は、なにが美味しいのかわからないんだけど、妙に美味しい。素朴と言ったら聞こえがよすぎるような。具材とご飯の香り、甘いような辛いような醤油の風味。ぼやーっとしている。香港らしい、広東料理的なものは、そもそもぼやっとした味のものが多い気がする。でもなぜかまた食べたくなる味。


念願の牡蠣のお好み焼きはこの店ではかき揚げのような商品で、これはこれでまた良かった。

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そのあと並びの店(行列を見込んだ便乗商法の店だと思う)で牛モツの煮込みおでんを買い、ウロウロしながら途中のコンビニで買ったビールと一緒に食べ、また別なお店で串焼きを買って路上の椅子に座ってダラダラ食べた。

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団体旅行だからこその、ちょっぴり若返ったような、のびのびとした時間だった。嬉しかった。

写真の撮れない場所に行く(香港に行ってきました 2)


旅行の構成要素はいろいろあるけれど、わたしにとっては未知の美味を食べに行くことと、写真を撮りに行くことが大きな2つで、まあ、世の女性の多くはそんな旅行の楽しみ方をしているのではないかと思います。
Instagramのおかげでインスタ映え(笑)みたいなことを言ったり言われたり、なんだか写真を撮ったり見せたりするのが流行りすぎて妙に揶揄されてしまう今日この頃だけど、フィルムの頃から、いい景色を見たら写真を撮ることは変わらないし、心の中に置いておけるものには限りがあるから、外部記憶装置を頼るのは悪いことではないと思います。

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そんな中、めちゃくちゃインスタ映えスポットとしてどのガイドブックにも載っている「モンスターマンション」という場所があります。正式名称は益昌大廈(Yick Cheong Building)。
建ったのは1972年で、さいきん映画などの撮影で使われて有名になったそうです。調べてたら、最近売買された物件は約30平米でHK$3.0Mと出てきたので、日本円で四千万円くらいですね。築45年のアパートにそんなに!とちょっとびっくりする値段だけど、かんたんに調べたら、香港の物件としては相場どおりのようです…さすが住宅供給の追いつかぬ国際都市。いや、話が逸れました。そんなことはいいんだ。

近くにあるお粥屋さんが めちゃうまいので、是非そちらと組み合わせて行ってください。
先におかゆの話しますと、ピータンと豚肉の入ったおかゆが超超うまいです。肉が甘く柔らかく、ピータンが大きくぷりっとしながら味がよく、その出汁のしみたご米がもったりとしてうまく、箸ならぬレンゲが止まらない一品。
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他のおかずもおいしい。余裕があったら腸粉と炸倆(揚げパンみたいなものを腸粉で巻いた謎の食べ物)も食べてください。
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偶然にもお仕事で駐在している日本の方と相席になったのですが、その方も「他の有名店よりここが旨いですよ」と証言されていました。ずっと行列ができているけど、仕切っている元気なおばさまとその影響を受けていそうな笑顔の店員さんたちの魅力もあり、味の良さももちろんあり、朝の良い時間を過ごせました。もしかしたらここが今回いちばんの大当たりだったかもしれない。また行きたいし、むしろ日本でお粥屋を流行らせてくれないかなあと思うほどでした。
金峰靚靚粥麵 - Google 検索


さて、モンスターマンションはそのお粥屋さんのすぐ裏です。こちらを見に来る観光客は後を絶たないようなのだけど、勿論そこに人は住んでいる。撮影スポットになっている中庭には注意書きがあり「事前の許可のない撮影は住民のプライバシーを守るために避けてください」と書いてありました。訪問の一か月ぐらい前に その情報をTwitterを通じて知ったので、旅行に行くメンバーとはその内容を共有されており「撮れないけど見に行こう」という気持ちで臨んだ訪問、実際に行ってみると注意書きをガン無視して写真を撮る人もいましたが、それを注意する人がいるわけでもなく、住民の方も傍観されていました。そんな状況でしたが、マナーを守れる人でいようという良心が勝ち、じーっと様子を眺めるのみで帰ってこれました。
この旅行のピークのうちのひとつはここだったと思うのですが、意外とそういう場面で写真が撮れないというのも、悪いことでないような気がしました。ただ、この場所をロケ地に使っているミュージックビデオは、つい、現地で見てしまいました。なんだかその時間を振り返ると、エモいです。

映像の中で満島ひかりさんが通った道をそのとおりに通って帰ってきました。途中でテレポーテーションする内容になっているので、すごく印象的な割に短い時間しか映っていないのですが、なんだか嬉しい。
もしここにちょっとでもお酒が入っていたら、そこで踊り狂ったり 写真を撮ったりして、住民の方に嫌な思いをさせていたかもしれないので、朝っぱらから飲んだりしないでおいて良かったなとも思いました。酒乱…

パジャマのこと(香港に行ってきました 1)

30歳を過ぎて時がたっているおかげか、図々しくいろんなことができるようになったし、そろそろやめなくてはいけないのにまだやっていることもある。


たとえば駅のホームでおにぎりを食べるのはそろそろやめたほうがいい。

いや、おにぎりならまだいいかもしれない、から揚げとかのガッツリ系は「急いでて仕方なく」感がなく「欲望のまま」すぎる。お腹空いたの我慢できなかったのかなー、みたいな視線(実際には誰も見ていないのだが)を感じる。そういうのはヤングな人がやることだ。ここでのヤングの定義はおよそ25歳くらいまでとする。もう33歳なのだ。会社員になって10年経って、中堅もいいとこだ。おそろしい。


同じように、本を読みながら歩くのもやめなくてはいけない。でも、買ったばかりの新しくて面白い本を電車で読み始めると、ついつい家に着くまで歩きながら読んでしまうことがある。家に着いても玄関で読んでいたりもする。これも広義で言うとから揚げの「欲望のまま」感の仲間であり、そろそろ避けてゆきたい。要は分別のなさを晒さず、スッとしていたいのだ。

しかし最近はみんなスマホを見ながら歩いているので、本を読みながら歩くのも大して変わらないんじゃないかと思う。それに、本を読みながら歩いていないとき、わたしは大抵スマホを見ながら歩いている。これも移動しながらスマホで書いている。意識して「ただ歩いてみる」と、とても清々しい気分になれることも知っている。低きに流れて後戻りできなくなっている感がある。

 
それでも「まだそれやったことないなー」と思いつつ憧れるのが、飛行機にパジャマみたいな格好で乗ることだ。


白人の家族連れに多い気がする。パジャマフライトファミリー。大きめのTシャツにパーカー、スウェットパンツ。わりと本気目の枕。はだしにサンダルか、いかついスニーカー。小さい子どもはガチでパジャマだったりする。きっとアジアに来るヨーロッパまたはアメリカの人たちは、フライトが乗り継ぎも含め長時間に渡ることも多いから、こういうスタイルになっていったのだろうと想像する。


たぶん世代が古いせいか、わたしの親は「飛行機に乗るならちゃんとしないと」という意識があった気がする。空港に行くならジャケットを着ないと…という謎のやる気は、おそらく初めて飛行機旅行した世代故の「最高級のお出かけ」に「よそいき」で臨む気持ちの現れなのだろう。なにしろパスポートを持って沖縄に行っていた世代である。

(調べたら海外渡航制限が解除されたのが1964年、沖縄返還は1972年のことだった)


そんな親に育てられ、私は飛行機にはきちんとして乗らなくてはいけないという意識を植え付けられたのかもしれない。実際は夏フェスに行ったりインドに行ったりできちんとするどころでないことも多かったけれど、出発準備をしていると、なんとなく未だに「あんたもうちょっとちゃんとしなくていいの?」という声が聞こえてくるのだ。

 

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今回、深夜発香港行きのLCCに乗ってみたら、香港の人たちもいい感じにパジャマだった。香港経由で中国に帰るふうな人たちは、私なんかより圧倒的にうまい具合に白人ナイズドされている気がする。飛行機は特別なものだからきちんとしなきゃなんてきっと思ってなくて、飛行機に乗ったら寝るし、楽な服装がいい、パジャマがいい、と思っていそうだ。それがなんだか羨ましい。堂々として見えるからだと思う。彼らの妙に荷物が多くて、そのうえかさばる枕を持っているのも羨ましい。苺を3ケース頭上の荷物入れに入れるなんて格好いい。私なんて「飛行機用のちゃんとして見えてラクな服」を探し求めて、飛行機に持ち込む荷物をいかに少なく効率的にするかを考えて苦しむのに。しかも考えたのに結局なぜか荷物は増えて重くなって苦しむのに。


ちなみに現在の「飛行機用のちゃんとして見えてラクな服」とは1年ほど前に巡り合っており、出張の多かった前職で大活躍した。ワンピースでゆったりしており、襟があり、ポケットもたくさんあり…とてもいいのだ。今回の香港旅行は出張ではなく旅行なんだから、それこそ全然きちんとしなくていいのでは、と心によぎったのだが、結局これを着て来てしまった。早くパジャマの世界に行ってみたい。

 

 

 

勝手に自炊する

按田餃子で買った本を読みました。
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まず、お店に行った時に感じた、宮沢りえがいそうに不思議にきれいな空間であることの違和感は、ある種意図的に作られているものだとわかり、安心しました。 そして素敵すぎるメニュー写真は、オーナーのうちの一人が写真家の鈴木さんという方で、ある種この方の作品だからだと分かりこれまた安心したのでした。

彼女の文章の合間合間には「自分のやる気に信用が置けない」という言葉が書いてあって、恐ろしく親近感がわきました。Aという作業をやっている途中で B というを作業やりたくなる、そして実際やってしまう、ということは私にもよくあって、彼女が推奨する生活…と言うか、推奨はしてないのだけど、表現されている内容は、自分の生活の中にも取り入れられそうなハードルの低さを持っていました。「キャベツの漬物を部屋からトイレに行くまでの途中において、冷蔵庫にも入れず見れる時に見る」というのはなかなか、めんどくさがりの考える効率よさです。レーズンとクミンを入れてつけると発酵が早く進み美味しいというのも、試してみたいものです。


食べることは勝手でよくて、雑でよくて、という発信を、料理を仕事にしている人からしてもらえることは、私たちが生きるのを楽にしてくれるのではないかな、と思います。コンビニでもいいし外食でもいいのだけど、それをやっているとなんとなくつまらなかったり寂しかったり、そもそもお金がなかったり…ということがあるけど、土井先生の提案や、朝日新聞をやめた方(この方は料理人ではないけど)の提案や、この按田さんの提案。ごはん、味噌汁、主菜、副菜、を全部用意するのが「当たり前」でなくていい。とりあえず適当に食べていればいいんだよと言ってもらっているようで、心が休まります。

まあそんなプレッシャーを感じて生きているわけでもないのですが。

そもそも私は料理をちゃんと習ったこともなく、今はたまに自炊すればいいくらいの生活をしています。ただし食い意地はめちゃくちゃ張っており、レシピを読むのが好きです。レシピ本をたくさん持っているけど、果たしてその中から作ったものがいくつあるかと言ったら、はて…という程度です。

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「なんかこういう味のものを食べたいけど外食にはそれがない」という、おそらく母に長らく作ってもらっていた味を再現するようなことがあったり、スーパーに行ったらこれが安くなっていたので作ってみようということがあったりで、レシピからきっちりできていません。そして、一回なにか作って、スープが余ったからそのスープでなんかしようとか、ひとつ食材を買ったけれども使い切れないから、こういう風にしてしまうとか、そんなことばかりの食べ物です。
そういえばそんなへんてこな食べ物ばかり作っていたから、結婚していた人にははてなと思わせていたこともあったような気もします。未だに覚えている最強に変だった食べ物は、すき焼きの肉なし。すき焼き肉を結婚式の二次会のビンゴかなにかで当てたので一度はすき焼きをしたのですが、残った牛脂が惜しくてネギと白滝だけをすき焼き風に炒めたのでした。貧乏臭いけど美味しかった。まあそれは置いといて。


こういった諸々を恥ずかしいかもしれないなと思うのは、Instagram やらTwitterやらのお料理を頑張る人たちのアカウントをフォローしていて、それを素敵だなと思っているからです。人が誰かに料理を見せる機会が人類史上最も多くなっている昨今。見せられない料理でも味が良けりゃ問題ないのだけれど、なかなか開き直ることもできずにいます。そんな心境でいるのはきっと私だけではないのだと思います。だから「とりあえず食べていればいい」ということをなんだか認めてくれるような本が、こうやってたくさん出版されているのだろうとも思います。

そんなわけで、料理は勝手にすればいいやという意思は強まりました。誰か来た時に、もしかしたら素敵なものを作ったりするかもしれないけど、それすらもっと気楽に構えられるようになりたいと思います。もし今後私が誰かになにかを振る舞うような場面では、適当にわけわからなく作ったものと素敵なものをまぜこぜにしてお出していけたらなと思います。

昨日はスーパーで半額になっていたイカとそのワタを一昨日の残りの厚揚げと一緒に炒めたものを食べ、茄子も安かったので、どこかで見たレンジで焼きナスというのを作って食べました。
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今日はイカの下足の部分と余っていた椎茸と、スーパーで9円だったもやしを炒めて食べました。
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(どちらにも大葉が乗っているのは大好きなくせに一度に使い切らないとすぐダメにするからです)(もやしのひげはとりません)

今、この炒めた食べ物の残った汁を何か麺に絡めて食べたいと思っているところです。そうやって日々は続く、と言うと小沢健二のようだ。

花の定期購入サービスを使ってみた

引っ越しを機に花のある生活をしたいなーと思って、以前Twitterで見かけた花の定期購買 サービス にチャレンジしてみた。

2週に一回750円(送料込)でちょっとした花を届けてくれる。これに乗じて、玄関先にほぼ毎日花がある状態を続けてみたい。お店に行かなくて良いとは、なんてラクして気分を盛り上げてくれるサービスなんだろう、最高じゃん!さすがインターネット〜気が利く〜!と思って頼んでおいた。わたしは状況を改善するのにラクできるならぜひラクしたいと思う人間だ。堂々と言うほどのことではないけど。

さて昨日、家に帰ってみると、不在票が入っている。差出人は花サービス屋さん。「あれ?花は郵便受けに入れてくれるんじゃなかったかしら」「でもやっぱりお花だから直接渡さなくちゃいけないと郵便屋さんが思ったのかしら」と思いつつ、今日、用事ついでに郵便局に花を取りに行った。
そもそも郵便受けに直接入れてくれるというのが売り文句のサービスなのだ。不在票に対応しなくていい(=ラク)、というのを強いメリットとして感じていたのだが、一体どういうことなんだろう?

荷物を受け取ってすぐわかった。家の郵便受けの大きさには、この花は入らないんだなと。
持ち帰って郵便受けに当ててみると全然入らない。
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しかもオートロック的なところに住んでいるので、部屋まで上がってきて新聞入れに入れるということもできない。でも箱には必ず郵便受けに入れてくださいと書いてある。これは郵便屋さんにかわいそうなことをした。


中を見てみると、数日間放置されて元気がなくなりしょぼんだ花が入っている。
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これは花もかわいそうだ。急いで水揚げをして活けてあげたら、少し経って元気を取り戻していた。ちょっと一安心。ただ、このサービスはすぐ解約しようと思った。

運営の方には是非、申し込む前に箱の大きさについて言及していただいて、ポストの口の大きさを確認するようにアドバイスして欲しいものだよ…と思って確認したらFAQに「どんなポストでも配達できますか?」という質問が載っており、推奨ポストサイズ(タテ4.5cm×ヨコ16cm以上、奥行き15cm以上)が明記されていた。そりゃそうだよな…ご検討中の方は気を付けてくださいませ。

もう少し時代が進んで、郵便屋さんの手を煩わせずに、ドローンで配達してそっとベランダに置いてくれる仕組みになったら、再開したいと思う。それか、出世をがんばって、宅配ボックスのあるおうちに住めるようになったら再開かな。

とりあえず、どこかちょうどいい場所に、良いお花屋さんがないか探さなくては。

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(元気になった花はかわいい)

按田餃子に行ってきた

そもそも、かなり出遅れ感がある。

お店の存在は『生まれた時からアルデンテ』の平野さんがインスタにのせていたから知っていたし、それ以外の食べることが好きな人達も絶賛…というか、好かれていたことを知っていた。
超美味いよねジューシーでボリューミィでインスタ映えだよねみたいな世界観ではなく、フィロソフィーみたいなところも含めて好意を持たれているお店なのかなと思っていた。


なぜ行かなかったのか、ハッキリとはわからないのだけど、なんとなくまだ行かなくていいかなと考えていたし、たぶんその根っこには、ここには私の苦手な「丁寧な暮らし」的な何かが待っているのではないか…と恐れていたんだと思う。


行くきっかけになったのは、昨日、美味しいものを食べる先輩であるKご夫妻とお会いして、『ダバ☆クニタチ』と『按田餃子』にまだ行ってないなんて、なんと勿体ない!と嘆かれ、発奮されたからなのだ。わたしは普段はそうでもないのに、こういう席では非常に返事の良い女なもので、でかい声で「行きます!明日行きます!」と答えたのだった。


本来の予定は、朝起きて国立へ行き、ダバ☆クニタチのモーニングを食べる。(インドカレー屋がモーニングをやっているということがまずスゴいよな) そしてウロウロしたのち代々木上原まで移動して按田餃子でお昼を食べる。夜は送別会。ということだった。
わたしは明日現在勤めている会社を退職し、東京を離れて名古屋の会社に勤めるのだ。だから、ごく短期的に見ると、有休消化最終日の今日しかチャンスがなかった。
しかし実際には、昨日の夜のご夫妻との会が楽しくて嬉しくて調子に乗ってそのまま一人でもう一軒行ってしまい飲みすぎて、朝起きられなかった。明日の支度をしたり銀行用事をしたりしていたらもうモーニングの時間にもランチの時間にも、国立に着くことは叶わなくなっており、諦めた。国立は次回への宿題にしよう。

 
そして、按田餃子である。


到着した平日の午後3時前、外に行列ができていておどろいた。さすがにこんな中途半端な時間は空いているだろうと思ったのだが、テレビ効果なのかインスタ効果なのかオシャレなやつはだいたい友達だからなのか、とにかく満員だ。
回転が良いので大して待たずに座れた。水餃子定食を頼んだ。美味しかった…そして、優しかった。ムチムチしており、あっさりしており、かつ、それぞれの水餃子はいろいろな味がしており、なるほどこれが按田餃子なのだなと思った。定食についたごはんもスープも美味しい。特にごはんはすこしスパイシーで具沢山で、「まじぇてね」の食べもので、カレー的だった。
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こんなの、大好きだ。
ああ、ラゲーライスも、泡菜乾麺も食べてみたい…麺ならこの定食のあとでも食べられるのでは?頼むか?とまで思ったが、初めて入った店での奇行は避けたいので諦めた。


お店の中は、きれいな町中華のように見せている、映画のセットみたいだなと思った。宮沢りえが一人で切り盛りしている感じだ。
ラゲーライスを紹介する写真も、POPEYEかBRUTUSの表紙のように独特のトーンがあるなと思う。そのへんがなんだか、来る前に恐れていた、丁寧な暮らし的な世界観のようで、やっぱり少し遠く感じる。気取ってなさときれいさの組み合わせが誠実の塊のように見えるのかもしれない。嘘じゃないに決まってるのに、嘘なんじゃないの?と勝手に思い、それを怒られそうな気がしてこわいのだ。


食べている途中で、メニューが昼から夜に変えられた。続き営業だが、15時から夜メニューになるということを知った。それをチラリと見るとなんとまあなんとまあ魅力的なんだろう。
「糠漬」
「パンチの効いた蒸し鶏
「鶏肉の番茶ココナッツ煮」
ああ、これもそれも、一体どんな味なんだろう、なんだよこんなお店が近くにあったら毎日通ってしまう、おかずと水餃子をパッと食べて、声にも出さずウフフ美味しいなと思い、ビールかなにかサラッと飲んでパッと現金を払って帰りたい。いいなあいいなあ。


トーンがどうのと文句を言っていたけど、結局メニューへの好奇心に負けてしまう。また絶対行くんだ、こんどは誰かと言って何品か頼んで少し飲むんだ、とときめいた帰り道だった。
ついでに著作も購入したので、恐れに対してもクリアにしていきたい気持ち。


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